Lv.6 説明「ようこそ 【イティニム むら】へ!!▼」
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「よかったな、無事成功して」
フォンシエはにこりと微笑む。
一方、ギルベルトは子供のように無邪気にはしゃいでいた。
「はははー、褒めた後に馬鹿みたいに称えやがれ下僕ー!!」
「そう言わなければせめて褒めるぐらいする気になるんだがなあ……」
そう言いつつ、フォンシエは少し褒めてやったのであった。
「そういや、建物とかは傷ついてないのな」
辺りを見まわしながら、ギルベルトがそう呟いた。
「まあ、一応消費してるのは『魔力』だからな。魔力は自然のエネルギーみたいのを利用してるらしいから、建物に当たったりして壊れたとしてもすぐに……何故だか知らんが修理されるらしい。勝手に」
「自然パネェ!!」
「……本当だよなぁ」
ギルベルトがぎゃーぎゃー騒いでるのを見て、フォンシエはクスリと笑った。
「――――あ゛ー、何年振りかにはしゃいだから疲れた」
「残念な感じが漂いまくってるんですけど」
ギルベルトはさっきとは一変しまくりな、超絶不機嫌顔となった。
「しゃーねえだろ、人生なんて楽しくねえんだから」
「まだお前若いよな?! まだ若いよな?!」
「17なんてその内死ぬ程度だろ」
「21の俺に謝ってくれ!!……まあ、俺も年寄りって訳じゃねえけど」
戻ったせいか疲労が……と、フォンシエは心の片隅でそう思った。
◆
気だるげな異世界人を引っ張りながら歩いていると、平原への入り口付近にいかにも村人A(おっさん)といった感じの人間が立っていた。
「んだ、あいつ」
ギルベルトが目を細めながらそう言うと、フォンシエはさらりと
「ああ、あれはこの村――イティニム村について説明する…というか必ずどんな場所にも存在する伝説の男、【説明神】さ」「fmdkldzxcm、ンhjfs、:zんd、gtフグッッッッッッ」
ギルベルトは思い切り吹きだす。
フォンシエはギルベルトが吹きだした理由が分からなかったがとりあえず苦笑いした。
「いや、今のどこが面白かったんだ?」
「面白かったとかそういう次元じゃねーよこれ!!」
「……もしかして、お前の世界には説明神はいないのか?!」「いてほしくねーよこんなの!!」
フォンシエは驚愕のあまり、持っていたロングボウを地面に落した。
「ま、まさか……そんな事があって…………」
フォンシエが暫く口をあんぐりと開けて硬直したままになったので、ギルベルトは見なかったことにして、説明神とやらに話しかけてみることにした。
「おい、そこのお前」
『ようこそ 【イティニム むら】へ!!▼
ここは きみの たびだちの むら!▼
ゆうきを だして ここから とびだせば▼
きっと きみの でんせつは せかいに ひろがる はずだ!▼』
「…………」
――――コメントしようがねぇ……
思わず思い切り説明神を睨みつけてしまったギルベルトは、慌てて少しだけ表情を柔らかく(とはいっても恐ろしいのに変わりは無いが)した。
「あのs『ようこそ 【イティニム村】へ!!▼
ここは きみの たびだちの むら!▼
ゆうきを だして ここから とびだせば▼
きっと きみ「同じ台詞しか言わねえんかよks!!」
相手するのが面倒になったので、ギルベルトはフォンシエを叩き起して平原へと向かっていった。