Lv.1 決意「旅の始まりは冒険の始まり」
狩人である青年――――フォンシエ・コンテスティは、とある事件(Lv.0 c参照)により、異世界から来たギルベルト・H・アイヒベルガーと出会い、下僕と呼ばれるようになった。
フォンシエはとりあえず自分の家に連れていく事にしたのだが、さっきからギルベルトが五月蠅い。
「なんだよお前田舎くせえな」とか「うわマジ田舎なんかよここうわーほんとにもううわー」とかぶつぶつ呟いている。正直フォンシエは殴りたかった。
ちなみに、一番うぜえと思った言葉は「ちょ、弓とかださwwww」である。
――胃が悲鳴を上げるのを強制終了させるように腹を押さえ、文句を言わず歩くフォンシエであった。
◆
――――なんとか家の前に到着。
「はあ、疲れた……。帰るだけなのにこの疲労感は何なんだ……」
そうフォンシエがため息交じりに呟くと、隣にいる魔王様は超絶不機嫌オーラを放ちながら地面をガシガシと蹴り、
「おい下僕。何なんだこの塵屋敷は。俺様は宮殿並みの超豪邸の高級ベッドで寝てーんだよks!!」
と怒鳴った。
「人の家をks呼ばわりすんなよ!……というか、そんな事言うんだったら勝手に野宿でもしてやがれ!」
対してフォンシエがそう言い放つ。
「のじゅッ……! チッ、しょうがねえ。我慢して下民の家にいてやるとするか……」
ギルベルトは諦めた顔になって家にズカズカとあがりこむ。
フォンシエは頭をかち割りたかったが、なんとか堪えて自分も家にはいった。
◆
「――――んで、どうしてこの世界に来たんだ?」
フォンシエは2人分の紅茶を淹れながら、ギルベルトにそう尋ねた。
部屋にはアールグレイのほのかな香りがゆったりと漂い、イライラしていたフォンシエの気持ちは段々とやわらいでいった。
「んなん、こっちが聞きてーぐらいだっつーの。突然俺の視界が真っ白になって、気がつけばあんな森で寝てたんだからよ」
――――ったく、どうやったら元の世界に戻れるんだか…………
そう思いながら、ギルベルトは気だるそうに答えた。
「なるほど。……しかし、なんでこんなところに飛ばされたんだろうな。よりによって」
「それはこっちが聞きたいぐらいだっつーの!!…………あ、うめえ」
「はは、それは淹れた甲斐があったってもんだ」
フォンシエはにこにこと笑った。
その瞬間、ギルベルトは即座に「別に下僕を褒めてるわけじゃねーよ!」と言ったが、フォンシエはなんだか微笑ましくなったので余計に笑ってしまった。
――――少しは可愛げがあるんだな。……一応は。
そう思いながら、フォンシエは本題に戻る事にした。
「しかし。どうする?こんなところに居ても解決はしないだろうし……」
「早く都会の豪邸の以下略したいしな」
ギルベルトの必殺ドヤ顔攻撃。フォンシエの苛立ち度は5あがった!
「……それは置いといて。まあ、一番は情報収集なんだろうけど、こんな田舎には情報通の奴なんてそうそういないし」
「それならお前が集めて来い。都会まで行ってな」
「なんで俺なんだよ!!――――――あ、その手があったか」
フォンシエはそう言って立ち上がると、何かを探し始めた。
「ん、何やってんだよ」
ギルベルトがそう尋ねると、フォンシエは地図を手にしながら
「旅して情報を集めればいいじゃないか。お前が此処に来た理由も分かるだろうし、なんせ俺も一度は旅してみたかったんだ。なかなか名案じゃないか?」
と言った。
ギルベルトは少し悩んでから、まあ、それはそれで楽しいかと思い、承諾をした。
こうして、二人は旅をすることになり、明日に備えて早めに寝る事にした。
これから様々な出来事が起こる事を知らずに――――――