Lv.11 毛玉「主婦の天敵は物理で解決」
「そういや、さ」
獣道を歩きながら、ギルベルトはフォンシエに問いかける。
フォンシエは頬を軽く掻きながら、ギルベルトの方に顔を向けた。
「あの何か変な毛玉みたいなアレは何だったんだ?」
「そりゃ、モンスターに決まってるじゃないか」
「……いや、けろっとそう答えるなよ。俺様が聞きたいのは名前だよねえむ!!」
と、珍しくギルベルトがツッコむと、フォンシエは小さくため息をつきながら、
「ちょっとボケてみたかったんだよ……」
とボソリと呟いた。
そんなフォンシエを軽くスルーし、ギルベルトはエテルナに問いかけたいた。
「んで、何だったんだアレ?」
エテルナはビクリとしながらも、おどおどとその質問に答えた。
「えと……
――あのモンスターは『ペクエノ』という名前なんです。
毛玉のようなモコモコとした身体に足が生えていますが、何故か浮遊して動いています。
基本あまり強くないですが、集団で来ると手ごわかったりします。あと、色々な属性のペクエノがいるので、弱点属性の子がくると「あー、分かった分かった。もういいや」
ギルベルトは顔をしかめてエテルナの説明を制する。
エテルナは気付けば長々と喋っていたことに気付いて、顔を赤く染め、口に手をおいた。
一方、フォンシエはスルーされた事に少々傷つきながらも、気にしない方が寿命が延びると思い、言及することをやめた。
「……そういや、ペクエノは面倒なことに結界を抜けやすい性質らしくて、時々掃除中にこいつを見つける時があんだよなあ。――ま、ハタキとかで叩けば死ぬけど」
1人はコクコクと頷き、1人は不思議そうに首を傾げた。
◆
段々と緑が濃くなり、サワサワという葉の音がより一層目立つようになってきた。
だが、そんな事を気にする余裕などさほどない、といえる位数多くのモンスターが襲いかかり、三人は大分へとへとになっていた。
「しっかし、早くつっかねーかなぁ」
と、ジト目のギルベルトは口をヘの字に曲げてぼそりとぼやく。
「多分、もうそろそろなんだろうけど……。道間違ったかなぁ…………」
段々不安になってきたフォンシエは、何度も自分の頭を指でポンポンと叩いていた。
そんなフォンシエを見て不安になってきたエテルナは、そわそわと辺りを見回した。
――――あれ?
エテルナは、奥の方に誰かいることに気付いた。
だが、人というよりは何か違和感を感じ、エテルナはそっと杖を構える。
「ん、どうかしたのかエテルナ」
フォンシエが声をひそめてそう言うと、エテルナは奥の方に居る何かについてフォンシエに伝えた。
「――――成程。もしかしたらそれの守護者、とかかもしれない。……ギルベルト」
「ん、わーってるよ」
ギルベルトはゆっくりと木刀を構え、ニヤリと笑った。
「待ってろよ、雑魚。俺様がミンチ肉にしてやるぜ」