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Lv.9 天然「魔法娘は天然娘」

不思議ちゃん旅人ことトロイ・メライと別れて数十分後。

異様に緑が深い場所、リヒトの森の前に到着した。


「丁度ここを抜ければシアオンの近くに出れるらしい。本当に好都合だったよー……って、ギルベルト?」

気がつけば相方がどこかに消えたので、辺りを見回すフォンシエ。

すると、なにやらギルベルトは説明神のところにいるようだった。


「って、あんなところに……」

フォンシエはため息をつき、とりあえずその方向へと歩いた。





『ようこそ 【りひとのもり】へ!!▼

ここは みどりが こころを いやしてくれる ばしょ!▼

おもいきって はいって みれば▼

たいようの やわらかい ひかりが きみに ふりそそいで くれるぞ!▼』


――――と、そんな台詞を後頭部が光り輝くおっさんが言い放っていた。


言葉にするとかなり痛いが、説明神だから許される。説明神素敵。




「……だってさ下僕」

「いや、俺に振るなよ!」







2人はどんどんと森の奥へとはいっていく。

どうやら、整備された道には簡易結界が張ってあるらしく、モンスターが入れないようになっていた。

だが、武器が眠っているという場所は、その道から外れたところにあるために、モンスターに遭遇してしまうらしい。


「まあ、だとしてもなぎ倒せばいいだけだしな」

「んな事言ってやられるなよ?」

「ッッ、おめぇこそやられるんじゃねえぞ!油断してグサッとかな」

「はいはい、気をつけまーっす」

ギルベルトの台詞をさらりと受け流し、フォンシエはのんびり歩いた。



――――と、その時。




「あー、フォンシエさん!!」


柔らかいソプラノヴォイスが、2人の耳に響いた。

ギルベルトはどうでもよさそうな顔をしていたが、フォンシエは目を丸くした。



「え、何で君がここに……?」


フォンシエは座り込んでいる少女を見て、無意識にそう言った。

「いやあ、ここってすっごく美味しい木の実が穫れるんですよ。なので入っていったんですけど、足を挫いちゃって……」

そう言って、少女は自分の右足を指差す。

見てみると、少女の右足は少し腫れていた。

「……随分痛そうだな。立てるか?」

そう言って、フォンシエは少女に手を差し伸べると、少女はゆっくりとその手につかまってよろよろと立ちあがった。


「すみません、こんなことして貰っちゃって」

「いいや、別に構わないさ」

フォンシエは心配かけないようにと柔らかく微笑む。

少女はその笑顔を見てすこし恥ずかしそうな顔になった。


……と、こんな様子を見ていたハブラレ異世界人は、不満そうに口を尖らせた。

「んだよ、俺様だけ省きやがって……。ってか、そいつ誰」

ギルベルトがどちらかというと正論を言う。

少女はハッと顔をギルベルトの方に向け、慌てて自己紹介をした。


「す、すみません!……えと、私はエテルナ。エテルナ・グラーティアっていいます。フォンシエさんとはお隣さんで、いつも優しくしてもらってるんです♪あ、ちなみに魔術師です」

少女――エテルナは、そう言うとにこりと微笑んだ。

それと同時に、彼女のチャームポイントである、太陽の光に反射して美しく輝く淡い水色のロングヘアーがさらりと揺れた。


「ふーん。魔術師、ねぇ……」

「一応、援護系から攻撃系、更には回復魔法まで、何でもできるんです♪」

そう言った途端に、エテルナはよろけて転びそうになったが、慌ててフォンシエが彼女を抱きとめた。

「っと、危ない」

「はうっ!!」

突然エテルナの顔が林檎のように真っ赤になり、エテルナは慌ててフォンシエから離れた。

「すすすすすすすすみません!!」

「ははは、別に構わないさ。――――って、そういえばさ」

フォンシエはそう言うと、エテルナに的確すぎる一言を放った。



「回復魔法使えるなら、自分の足の傷を癒せばいいんじゃないか?」


「……あ」




その後、エテルナは回復魔法を足にかけたところ、八割方回復しましたとさ。





「……アホかよ」

「人はそれを『ドジ』って言うんだぜ」

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