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Lv.8 秘弾「T.M.夢想的旅人は何者なのか?」

「――――そういえば、さっきから密かに密やかに気になってたんだけどさ」

「ん?」

トロイはゆらゆらとギルベルトの方に近づく。

そして、にょきりと顔をギルベルトの近くにやった。

その後に、はっきりと、そしてじんわりとギルベルトに問いかけた。


「なんで、武器が木刀なの?」「ブッッッ」


ギルベルトの唾が思い切りトロイの顔にかかる。

「ちょ、まさかのダイレクト唾攻撃?! ボクのチキンっぽいハートがズギシギシっと傷んだよ?!」

「それはこっちの台詞だks!!」

トロイは困惑し、ギルベルトはキンキンと喚く。


ある意味それの元凶なフォンシエは、どういえばいいか分からず、とりあえず黙っていた。

「ま、RPGの序盤っぽくて嫌いじゃないけどね。ボクも持ってるし」

「持ってるんかい!!」

ツッコミ担当であるフォンシエが衝動的にツッコむ。

「ほらね」

トロイは笑顔で、どこからか知らないが恐らく背後から木 刀 を 取 り 出 す 。


「「!!??」」


あまりの予想GUYな出来事に、2人とも露骨に動揺した。

「まあ、でもこれは割とどうでもいいからしまっておくね」

そしてまた恐らく背後へと木刀をしまう。

慌ててギルベルトが背後を確認したが、そこには何もなかった。


「ちょ、ま、え、はぁいいぃいい??」

思わず間抜けな声が漏れだすギルベルト。


――――こいつ、ドrえもん亜種?!


と、思わず、四次元ポケットのあのネコ型ロボットが思わず頭によぎった。



「こらこら、ファンタジー世界で変なツッコミは無しだよ」

トロイはにへらとやはり気の抜ける笑みを浮かべる。

段々色々がどうでもよくなってきた2人は考えるのをやめることにした。


「まあ、流石に木刀だとこの先無理があるよねぇ」

「うっせ!! これしかねえッつってんだろ!!」

「ははは、怒らない怒らない」

トロイは指で自分の頬をふにゃりとあげた。

ギルベルトはあまりのウザさに歯ぎしりしたが、反論してもしょうがないので言葉を飲み込む。

「そんな君にいい事を教えてあげよう。……実は、この近くの森、『リヒト』って名前の森なんだけど。そこにどうやら凄ーい武器が眠ってるって噂だよ」

まあ、守護者的な人もいるらしいけどね、と言ってトロイは笑った。

簡単に凄い事いっているが大丈夫なのかとフォンシエは心配したが、トロイは心を読んだかのように、ボクはいらないからいいよと言って微笑んだ。

「……その情報に嘘はねえんだよな」

「ははは。嘘だったらボクに次あった時ボクを殺してくれても構わないよ」

トロイは笑顔で恐ろしい事を言い放つ。

「んなら、信じてやろう。ただし、嘘だったとしたらお前を八つ裂「なんでお前は情報を教えてくれた人間にそんなに上がら目線で物が言えるんだよ!」

フォンシエはポカリとギルベルトの頭に拳骨した。

「ッヅッッッ!! なにすんだこの下僕ッッ!!」

「お前が悪いだろどう考えてもっ」

「下僕が主人殴るイコール万死に値するんだよks!!!」

「誰がいつお前の下僕になったんだ!そしてお前が主人な訳あるか!」


そんな感じでうぎぎくぎぎ上海蓬莱している2人の間に、トロイが割り込む。

「まあまあ、落ち着いて落ち着いて。怒ってばっかりだと体が疲れちゃうよ。喧嘩するほど仲がいいってやつかもだけど」

トロイの気の抜ける笑顔のお陰か、2人は黙りこくる。


「ま、ボクは寛大だからね。一々そんなことで怒ったりしないさ。まあ、誰かに武器を取られてなければ本当にあるみたいだから、安心して行った方がいいと思うな」

「そうか。まあ、わざわざこんな田舎の方に来る人間はいないだろうから、とりあえず行ってみるよ。有難うな」

「うん、日が暮れないうちに行った方がいいよ。一応モンスターもいるみたいだし、気をつけてねぇ」


ギルベルトが喋らないように(話にならないので)フォンシエがギルベルトの口を押さえたまま会話していた。

ギルベルトは必死に抵抗していたが、残念ながら手から解放される事はなかった。




暫く行き方などを聞いた後に、ようやく手から解放されたギルベルトは、ぐちぐちと文句を垂れ流した。

そんなギルベルトを引っ張りながら、フォンシエはトロイに軽く手を振った。

「それじゃ、俺達は行かせてもらうよ。また会った時にお礼をさせてもらいたいな」

「はは、別に構わないよ。まあ、その武器は是非見せてもらいたいけど」

「ぜってーみs……10万くれたら考えないこともない」

「意外と庶民的……。って、教えてもらった人間が何で払うんだよ……」

「ふふっ、君達って愉快だねえ。見ていて楽しいよ」

こんな気持ち久々だなあと嬉しそうに呟くトロイ。

何かを思い出しているような、そんな儚げな表情の彼だったが、2人はぐだぐだ話していたために気付いていないようだった。


「さ、そろそろ行きなよ。日が暮れる前にね。なんせ森は迷いやすいし」

「ああ。名残惜しいけどな。……んじゃ」

「それじゃ、また会ったときはよろしく」

「うん。また会おうね」

そうして、2人は森を目指して、トロイは反対方向へ歩きだした、




――――と、その時。



パシリとフォンシエの腕をトロイが掴んだ。

慌ててトロイの方を向いたが、そこにいたのは先ほどとはかけ離れた、真剣な表情のトロイがいた。


「君、エルフ耳なんだよね?……あらかじめ、忠告しておくよ。






――――『リヴァイタス』、っていう組織の人間には絶対に近づいたら駄目、だよ」


トロイはそう言った途端、さっきの柔らかい表情に戻った。

「ごめんね。突然こんな事して。……でも、この言葉、忘れたら駄目だよ?」


フォンシエは暫く身体が動かせず、ただ硬直していたが、ギルベルトの呼びかけに気付き、慌ててその方へ走っていった。




――――あいつ、何者なんだ?



胸の奥に、そんなモヤモヤを抱えながら。

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