4 どスケベ野郎
先生を見送ると特にすることがなくなった。微笑みながら深呼吸をする。これくらいの自由さが、シュレンには嬉しかった。
「シュレーン!」
シュレンは一瞬顔をしかめた。誰かということが一瞬にしてわかった。・・・嫌な腐れ縁だ。
「何の用、どスケベ野郎のウォル?私は貴方を嫌っているということくらい分かるでしょう?」
「何だよ、まだ引きずってんのか?」
まだ引きずっているアレは本当に最低だ。やられた瞬間に殺してしまおうかと思った。
「何だよ、俺だって好きでああなったわけじゃねえのに」
「でも謝ったらどうなの?女の子っていうのはファーストキスの相手が誰かっていうのをそれはそれは楽しみにしているものだけれど?」
事故だった。多分。いや100%事故だった。冬に水が氷になっていてスケート気分ではしゃいでいたウォルが私に直撃。・・・まぁ、会話でその後は想像していただきたい。
「だからホントごめんって!」
シュレンはウォルを睨みつけた。少しのっぽなウォルを見ていてふと思った。
「ねえ、何であんたお嫁さん探さないの?」
ウォルの顔が一瞬赤くなる。
「う・・うるっせぇな!文句あんのか?」
「だってあんた成人したじゃない」
「まだ成人してないお子様にはわかんねぇよ」
わるかったですね、と言いながらシュレンは雲の流れがありえないほど早いことに気付いた。ウォル、と呼びかける。
「シュバンってどれくらいまで近づいているんだった?」
リョクも、ルーザンもその問題で呼ばれたのだった。
「大体4200リだ。(1リ=約100m)」
そんな近くに、とシュレンは呟いた。今、戦っている。誰かが雲を寄せ集めている。
「シュバンは大体500~70000の軍が複数あった・・・短ければ3ヶ月でここまで来てしまう・・・」
ウォルが驚いたような顔をしてシュレンの顔を凝視する。
こいつは、こいつには何があったんだろう。ウォルは心の中で呟いた。
はじめてあった時、シュレンもウォルも互いに似た何かを見つけた。おかしい色をした瞳孔を。
シュレンは紅、ウォルは赤紫の瞳孔だった。それでも、互いに近づける気はしなかった。見つかった環境が違う。目に見えない何かが明らかに違う・・・。
互いに、互いを深く知る事は許されないことなのかもしれない・・・・・・・・・。