役者の隠し子
路地にはレッドカーペットが轢かれ、ドレスを着た女優やスーツ姿の俳優がその上を歩いていた。
大畑義明がオーラを纏いながらその場を歩くとファンたちが騒ぐ。
3才の彩羽を連れて歩く佐奈は後ろから義明を冷ややかに眺める。
彩羽は「パパ!」と人混みから抜け出し義明の隣で呼びかけるも義明は知らないふり。
彩羽はその場で立ち尽くし、「彩羽!」と佐奈に連れ戻される。
佐奈は彩羽に耳打ちする。
「ダメよ!今はパパじゃないの!」
彩羽は悲しい顔で彩羽を見つめる。
佐奈は人混みを避け、彩羽を公園に連れて行く。
彩羽はお母さんとお父さんと遊ぶ子供を見つめている。
「彩羽……お父さんとも遊びたい」
「お父さんは皆のお父さんだから。お母さんのものでもないの。ごめんね」
彩羽と佐奈の元にある男が駆け寄る。
「あれ!?佐奈さん!?彩羽ちゃんも」
義明と佐奈の幼馴染の満だ。
「彩羽ちゃんおっきくなったね」
彩羽を満が抱き上げる。
彩羽は大喜びし、佐奈はそんな二人を見つめる。
彩羽は嬉しそうに降りては滑り台を滑りに駆けていった。
「佐奈さん、結局あいつと籍入れてないんだって?」
満は佐奈を見て眉を上げる。
「そうよ。これも娘を守るためみたい」
「違くないですか!?義明自身を守る為でしょう?」
「そうだよね。私も、そう思う」
「彩羽ちゃんは寂しくないんですか?」
満は眉をひそめ彩羽を見つめる。
佐奈は重そうに口を開ける。
「寂しいって毎日言ってるよ。でも、どうしようもないよね」
満は、佐奈の両肩を掴む。
目を見開く佐奈。
「僕が、彩羽ちゃんの親になったらダメですか?」
「それって……プロポーズ?」
「そうです。彩羽ちゃんも懐いてくれてるし、佐奈さんにも彩羽ちゃんにも悲しい思いも寂しい思いもさせません」
佐奈、瞬きを重ねる。
佐奈、彩羽を見る。
「彩羽が良いって言ったらいいよ」
「じゃあ僕聞いてきますね」
「彩羽ちゃん!」
彩羽に近づこうとする満のもとに彩羽が駆け寄る。
「なに?」
「彩羽ちゃん、あのね。満おじさんが、彩羽ちゃんのお父さんになってもいいかな?」
「満おじちゃんが?でも、パパはもういるし……でも…」
少し考える彩羽。
「じゃあいつも彩羽と公園で遊んでくれる?」
「もちろんだよ」
「やった!いいよ!」
「本当か!ありがとう」
満は喜び。佐奈は安堵の顔を浮かべる。
公園の陰で話を聞いていた黒ずくめの服の義明は悲し気な顔を浮かべ立ち去って行った。




