表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

ゴーストxドール


私は人形、中身は空っぽ。

特に何もありません。

でもでも。

私には仲間がいます。


仲間のわたしは幽霊ちゃん。

実体とかない。

人形に憑りつくわるいやつです。


ずっといつも二人。

見かけ上は一人。

気分は三人前。


死者と人形。

半分づつ命を合わせて、きっと多分生きています。


/


ここは廃屋。

ボロボロで人っ気がない。

だいたい朽ちてる。

私も朽ちかけ。


私は動けません。

命が半分しかないからです。

ほんとはお菓子が食べたいのですが、

動けないなら仕方がありません。


特に記憶もありません。

いつから私はここにいる。

五分前か五秒前か。

過去がないゆえ未来もない。


きっと、このまま消えてゆく。

私は塵へと還るだろう。


でも、それなら。

私がここにいる意味って、何―?


/


わたしは幽霊ちゃん。

事故で死にました。

ここは道路の上のようです。

わたしの死体が見えています。


わたしは物に触れられない。

命が半分しかないようです。

ほんとはハグが欲しいのだけれど、

触れないなら仕方ないです。


記憶の糸が辿れない。

わたしは死ぬ前どうしてた?

お家も学校も覚えてるけど、

肝心の中身がありません。


意識は確かにあるけれど、

これでは生きていると言えません。


わたしは幽霊ちゃんだけど。

幽霊なりに、生きていたい。


/


とは言え、あてもなく。

幽霊ちゃんは、ひたすら町をさまよいます。

商店街、住宅地、駅前公園幼稚園。


どこに行ってもひとりきり。

寂しくて泣いてしまいます。

幽霊だから、泣いても涙が出ないけど。


落ち込み続けて、物陰へ。

ふらりふらりと、暗闇に。


ふと気づけば、ここは廃屋。

ボロボロで人っ気がありません。

寂しい気持ちのせいで、寂しい場所に着いてしまいました。


気分がどんどん落ち込んで、どうしようもありません。

このまま消えちゃいたいな。

なんで生きているのかな。

気分は重力のようになって、わたしを下へ引っ張ります。

そのうちゆっくりと、床下に沈んでいって・・・。


/


誰かがここに来たような。

そんな気がします。

相変わらず人っ気はないけれど、

人じゃなくても良いでしょう。


近づいてきてる。

まるで沈んでいるように、

ゆらゆらと私のいる地下へ。


このままでは誰かさんは落ちてしまう。

私の目の前を通り過ぎて、地の奥底に。


もし、私が動けたら。

私はあなたを掴めるのでしょうか。

この半分の命でも、あなたを救えるのでしょうか。


塵になって消える前に、何かを掴みたい。

この手が動かなくても、この心で。


幸運にも、その距離は近く。

あなたも生きているのなら。

きっと、心を通わせられるはず。


私は人形だけれども。

人形なりに、生きていたい。


だから届いて、私の心―!


/


沈む心、沈むわたし。

止まりそうにない、感情の落下。


明るい気分を心掛けても、

やっぱり限度がありました。


このまま地上は遠くなって。

もう戻れなくなってしまうかも。


でも。

声が聞こえる気がする。

わたしのことを、見てる人がいるような。


それなら寂しくないのかも。

それなら生きて、いられるかも。


些細な希望だけれども、

動く理由には十分でした。


誰かが差し伸べたその心に、そっと触れて―


/


目が覚める。

人形のはずなのに、眠るとは何事か。


―違和感がある?


おはようございます。

落ち込み気分も一旦眠れば、すっきり回復するものです。


―あれ?


体がある。体が動く。

誰かがいる。"あなた"がいる。


私は人形。

わたしは幽霊ちゃん。


これは偶然なのか。

これは奇跡なのでしょうか。


半分の命は合わさって、ひとつの命になったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ