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三兄弟  作者: 一二三


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22/24

ママの可愛い〇〇ちゃん

 つい先日、私が家にいた時の事。

玄関のドアが開いた音に遅れてぼそっと低い声で聞こえた「ただいま」に、夫が早退してきたのかと慌てた。

「お帰りなさい。どうしたの?」と駆け寄ると、それは夫ではなく三男だった。


「いや、普通に帰って来ただけだけど。」

「サンサンかー。ビックリした、パパかと思ったよ。お帰り。」

「なんで?ボクに決まってるじゃん。」

「何か、『ただいま』って言う声がパパにそっくりだった。」

それにこの末っ子はあまり普通に『ただいま』とは帰って来ない。こそーっと入ってきて気付かれないよう接近して気付かれるまで待機していたり、驚かせたりする。


「えー、そうかな。似てないじゃん。どっちかというとママ似でしょ。」

「いや、全然。パパ率98パーセントだよ。」

「じゃあ後2パーはママなんだ?」

「ううん。残りの2パーセントは謎成分。」

「ママ入ってないやんけ。」

「パパの子だから。パパからニョロ〜っと生まれたからね。」

「それキモいからやめて。ボクはママにそっくりだから!」

「目が二つあるとことか、口とか耳があるとことか、」

「ほとんどの人とそっくりになっちゃうじゃん!」


「サンサンは鼻ポニョだし。」

私の鼻は幅が狭くとんがっていて、触ると先っちょがゴリゴリしている。対して夫と子ども達はやや幅広で丸く、特に三男の鼻の頭(先っちょ感無し)は触るとポニョっとして気持ちいいのだ。『サンサンの鼻はポニョポニョしてて気持ち良いねえ』と鼻の頭を突くと、ちょっとチンパンジーみたいに横に開いた小鼻がピクピクして可愛い。

 小学校の3年生くらいまではぷくっとしたお腹が可愛らしくて、よく(ママの可愛い)「お腹ちゃん」と呼んでいた。ママの可愛い、は付いたり付かなかったり。

 お腹がペタンコになってあまり可愛くなくなってきた彼は「鼻の穴ちゃん」に華麗な転身を遂げた。


「と、思うじゃーん? ところがボクは成長途中だからね、二十歳になったらこの鼻とんがるのよ。とんがりコーンみたいになっちゃうからね。も、ガリガリよ。」

「マジで?!すげー!面白すぎる。」

とんがりコーンな鼻をリアルに想像してしまった。ピクピクしようとした小鼻がバリっと割れちゃうとこ。


「それは小鼻が固定されて可愛い『鼻の穴ちゃん』ではなくなってしまうのではなくて?」

「と、思うじゃーん? ガリガリとんがりコーンなのは先っちょだけだから大丈夫なんだな。」

「え、じゃあ小鼻はピクピクの『可愛い鼻の穴ちゃん』のまま?」

「当然よ。」

まさかの『人皮&とんがりコーン』異素材コンビ使い。若者は自由だな。


 「面白いから、『二十歳になったら、』からもう一回。録音しよう。」

スマホを出して、スタンバイ。「録音するんかい」とか言いつつ、ちゃんと再現してくれた。

『面白いヤツ』が良いらしい。


 初代「お腹ちゃん」は次男。それはそれは可愛いお腹だったが、彼はお尻も素晴らしくぷりぷりで可愛らしかったので、三男の台頭に合わせて「お尻ちゃん」に。

 長男は造作的に整っていて、体型も『タイツが似合わない幼児なんて初めて見た』というくらいシュッとしていたので、残念ながら「お腹ちゃん」ではなかった。彼は眉間も眉に侵食され気味で「一本眉ちゃん(姉呼称)」とか「眉間ちゃん」と呼ばれている。

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