私の野望 −2
少し経って、長男の「お勉強」は迷路を卒業し、パズルも数字ブロック(簡単な数独)へ。
長男は想像していたよりもずっと楽だった。一緒に座って「競争ね」と張り合ったりすると大喜びで取り組んだ。
基本的に一定時間考えて解けなければ「また明日」なのだが、席を外したらカンニングしていたことがあった。見つかった途端に泣き出した長男に、「『考える』のが勉強、つまりイチーチが賢くなるための訓練ね。だから分からなくても考えてるだけでちょっとずつ頭が良くなっちゃう。自分で考えないならさ、答え写す時間は無駄だから遊んだ方が良いよ。」と言ったら二度とやらなくなった(知らないだけかもしれないけど)。うちの子たちは何故かみんな「やらなくていい」と言うと、やる。
小さな子に勉強をさせるのは育成シュミレーションに似ていて存外面白い。様子を観察して何を伸ばすか、どうやって伸ばすか考える。絵本、図鑑、教材もどんな物がいいか色々探して試す。カルタやトランプも随分やった。
次男が幼稚園の2歳児クラスに入った秋だったと思う。幼稚園から帰ってくると官舎の外廊下に窓から吹き込んだ枯れ葉が沢山落ちていた。緑、黄、赤、茶と色形、大きさもバラバラ。それらを集めたり投げ散らしたりして遊ぶ兄弟に適当に一山取って「大きい順に並べてみよう」と言ってみた。時々反対意見を言ったりして様子を見ると夢中だ。そろそろ片付けて家に入ろうと言いたいのに、次は同じ形で、色が濃い順でと自分達で条件を決め出す。ついには「これは何順で並んでるでしょうか?」。なかなか喋らないなあ、大丈夫か?と思っていた次男も「色がキレイ順」の列を作っていた。侮れん。何だか嬉しくなってカメラを取りに行き、「並んだ枯れ葉と僕」を撮りまくった。
そんな感じでのんびりちょっとずつ勉強していた兄弟(上二人)に、中学生くらいなら大学進学を意識しているはずと、小さな頃から匂わせていた私の野望をバーンと広げてみる。
防衛医大は正直、運痴君発覚の長男では訓練が無理そうだと思っていたがまさかの「僕、血は無理」。
海上保安大は「僕泳げない。絶対無理」。
気象大は「興味ない」。惨敗じゃん。
諦めが肝心。その後父からの報奨金の話を聞いて、「京大良い。住んでみたかったんだけど、遊びに行くんでも良い。」と京大推し。高3になった長男は「京大の国語は無理」と言って過去問を見せられたが、問題文が意味不明だった。仕方がない。前期日程は東大。
え、後期日程は筑波大ですって?ハラショー。筑波大→JAXA→NASAだ!
「息子がNASAで働いてる」って言ってみたーい、と言った私をみた長男の顔を忘れない。
次男も長男とほぼ同様に私の提案は却下。それなら京大だ。
「京大?うーん、僕京大の雰囲気ダメなんだよね。」って。
行ってもないのによくそんな事言う。
なんなら北海道大か琉球大も良いと思ったが、遠過ぎて遊びに行けないし。
私の17年位越しの野望は脆くも崩れ去った。




