8.記憶を操る魔王軍四天王
魔王城の結界を解除するには、魔王軍四天王を倒さなければならない
ナギたちは、やむなく革命軍と手を組むことになった。
翌日。
ギィス率いる革命軍は、元ラララー王国の城へ進軍していた。
今その城を支配しているのは、魔王軍四天王の一人――メイメイ。
城門の前には、メイメイの配下たちが整列していた。
魔族はもちろん、ドワーフやエルフ。
種族も装備もバラバラの兵たちが、城を守るように立ちはだかる。
緊張が張り詰める中、戦いの火蓋が切られた。
ナギの目に飛び込んでくる光景――
ギィスが剣を振り上げ、叫ぶ。
ギィス「勇者アイカに道を作れぇ!!」
革命軍の仲間「おおおおおっ!!」
革命軍が一斉に突撃する。
――次の瞬間。
ドガァン!!
爆発のような衝撃音が響き、ナギは目を見開いた。
ナギ「……人が、吹っ飛んだ」
目の前で、革命軍の仲間たちが宙を舞っている。
ギィスが叫ぶ。
ギィス「お前は……バギス兄貴か!!」
宙を舞う革命軍たち――その原因を作ったのは、狂戦士の名。
ナギはぽかんと口を開く。
ナギ「……だれですか、それ?」
ギィスの顔が真っ青になった。
ギィス「俺の兄だ。ラララー王国最強の騎士――バギス」
怒り、困惑、そして少し呆れが混ざった声だ。
ギィス「兄貴はな、人間最強主義者で、ほかの種族は眼中にない。そう、差別主義者だ!」
ナギは思わず後ずさる。
ナギ「へ、へぇ……差別主義者……」
ギィスは拳を振り上げ、さらにヒートアップする。
ギィス宇「そんな兄貴が……魔王軍四天王メイメイの手下になってるなんて!?
……いや、絶対洗脳されてるに違いない!!」
ナギは心の中で思う。
(そんな、差別主義者をもとに戻していいのか……)
ギィスが叫ぶ。
ギィス「ここは、おれが止める!!
アイカ、ナギ!!お前たちは城の中にいるメイメイのところへ急げ!!」
アイカ「わかった!」
アイカとナギは軽やかに城内へ消えていく。
まるで冒険アニメのワンシーンのようだ。
ギィスは残されたバギスを睨みつける。
ギィス「兄貴!!」
バギス「ギィス……」
お互いの視線がぶつかる。
ギィス「どうして……どうして魔王軍四天王の部下になったんだ?」
ギィスの声には怒りと困惑、そして少しの悲しみが混ざっていた。
バギスはゆっくりと笑う。
バギス「あのお方の考えに感銘を受けてな……」
ギィス「考え?」
バギス「すべての種族が分かち合えたら……争いもなくなる。
笑顔が生まれて、幸せな世界が誕生するのさ」
ギィスの拳が震える。
ギィス「兄貴……お前は洗脳されている!!
1か月前の兄貴は、ほかの種族を痛めつけることに快感を覚えていたんだぞ!!」
バギスの顔が真っ赤になり、感情を爆発させる。
バギス「そんな……はずないだろ!!!!」
バギスが剣を振り上げ、ギィスに突進する。
ギィス「ぐっ……!」
ギィスは咄嗟に横に飛び、間合いを取りつつ反撃の構え。
斬撃がぶつかり合う音、金属の火花が散る。
剣と剣がぶつかるたびに戦場に衝撃波が走り、足元の砂利が飛び散る。
ギィス「くそっ!!やっぱり兄貴は強い……このままじり貧で負けるな!」
ギィスは短く唸る。
ギィス「アイカ、ナギ……早くメイメイを倒してくれ!!」
その言葉に応えるかのように、城の中でアイカとナギの足音が軽やかに響く。
ギィスは深呼吸して構えを固める。
ギィス「兄貴……絶対、元に戻す……!」
バギスが再び突進する。
ギィスは剣を振り、体をひねって回避――その瞬間、
火花が空中でキラリと光った。
※
一方、ナギたちは革命軍の協力もあり、魔王軍四天王・メイメイのもとにたどり着いた。
メイメイは、もじゃもじゃ頭の人間の青年のような外見をしている。
メイメイ「初めまして、勇者アイカとお嬢さん」
メイメイはにこやかに挨拶する。
アイカ「お前が、メイメイか?」
アイカが鋭く問いかける。
メイメイ「いかにも!!」
ドン!!
魔王軍四天王・メイメイの存在感が戦場に轟く。
アイカ「なぁ、質問していいか?」
アイカの声に、メイメイは柔らかく頷く。
メイメイ「どうぞ」
アイカ「この国に来て驚いたんだ。いろんな種族が平和に暮らしてる…?
で、お前の目的は何だ?」
メイメイは軽くため息をつく。
メイメイ「目的?どういうことだ」
アイカ「魔族は人間を恨んでいる。争うものだろう」
メイメイ「私は、平和主義者だ」
メイメイの声は真剣そのものだ。
メイメイ「私たち魔王軍四天王は、魔王様によって作られた。
私は魔王様の善の心から生み出された存在だ」
メイメイ「魔王様の願い――言葉が通じる生き物は、きっと分かり合える」
メイメイ「勇者よ!!友達になってくれないか?そして、一緒に平和な世界をつくろう!!」
メイメイはアイカに手を差し出し、笑顔を見せる。
ナギ「だめ!!!!」
ナギが強く声を上げた。
ナギ「だめ!!アイカ君、触れられたら記憶を変えられちゃう!」
メイメイは驚きの表情を浮かべる。
メイメイ「お嬢さん…なんで、俺の能力を知っている?」
ナギは未来の記憶を保持している。
未来のアイカから聞いた話だ。
アイカ「騙されそうだったぜ」
アイカが冷静に言う。
メイメイ「俺の能力を知った経緯を調べないとなぁ…」
メイメイは戦闘態勢に入る。
メイメイ「お嬢さん。記憶を見させていただきますよ。」
――その瞬間、戦いの空気が一気に張り詰めた。
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