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不幸少女への歪んだ愛情

魔王「ナギの記憶から、このやり取りを削除しろ」


その言葉を聞いた瞬間、ナギは息を呑み、思わず一歩後ずさった。

魔王はゆっくりと手を伸ばし、ナギの腕を掴む。

その指は氷のように冷たかった。


ナギ「やめて……!」


魔王「ナギ。君は……どうして私を拒絶するの?」


魔王の瞳は痛みと渇望で濁っている。


魔王「顔もアイカに変えてあげたんだよ。 君が望む姿だよ、愛してくれ」


ナギ「あなたはアイカじゃない」


その一言は、魔王の胸を鋭く刺した。


魔王の声は優しいのに、腕の力は鉄のように固い。

その矛盾が、魔王の狂気をより際立たせていた。


魔王「どうして……君は私を愛してくれないんだ」


ナギは必死に腕を振りほどこうとするが、魔王の握力はびくともしない。


そのとき、メイメイが慌てて叫んだ。


メイメイ「魔王様! 人間を殺さないという約束は嘘だったのですか!」


メイメイ「なぜ、アイカを処刑に導いたのですか!」


魔王は振り返り、苛立ちを隠さず声を荒げた。


魔王「黙れ。 おれが直接殺すわけじゃない。処刑は“人間の判断”だ」


メイメイは唇を強く噛む。


メイメイ「……魔王様は、ナギのことになると冷静じゃなくなる」


魔王「冷静でいられるわけないだろう!」


怒号が玉座の間に響き渡り、ナギはその声に怯えて肩を震わせた。


メイメイは叫ぶ。


メイメイ「ナギは“あの女性”の子孫であって、本人ではないですよ!」


魔王「お前に俺の気持ちがわかるわけない。 お前は黙って従えばいい!」


メイメイの瞳が揺れた。

怒りでも悲しみでもない。

それは、決意の光だった。


メイメイ「……魔王様。あなたは、間違っている」


魔王「うるさい。早くナギの記憶を改ざんしろ」


メイメイは静かに首を振った。


メイメイ「……しかたないですね」


魔王「何を言っている」


メイメイは魔王の背後へ回り、そっと手を伸ばす。


魔王「メイメイ?」


メイメイ「ごめんなさい。 魔王様の記憶を改ざんします」


魔王「やめろ。メイメイ、何を――!」


メイメイの指先が魔王の首筋に触れた瞬間、魔王の体がビクッと震えた。


魔王「……っ……!」


メイメイの瞳が淡く光る。


メイメイ「魔王様の“すべての記憶”を……消します」


魔王「やめろ……メイメイ……ナギを……離したく……ない……!」


魔王は霊体のメイメイに攻撃を放つが、彼女には一切触れられない。


魔王「俺は……お前の産みの親だぞ!!!!!!!!!!」


その叫びは、悲鳴に近かった。

メイメイはつらそうに呟いた。


メイメイ「あなたは私の産みの親です。そのことは感謝しています。 でも……あなたはナギを守るために、世界を壊そうとしている」


メイメイ「ごめんなさい……魔王様…… あなたは、この世界の“癌”です。」


魔王の瞳から光がゆっくりと消えていく。

色が剥がれ落ち、感情が消え、世界が消えていく。


魔王「ナギ……ナギ……ナギ……」


メイメイは震える声で叫んだ。


メイメイ「バイバイ、魔王様!!」


魔王はゆっくりと崩れ落ちる。


メイメイ「魔王様……私が誰かわかりますか……?」


魔王は虚ろな瞳でメイメイを見上げた。


魔王「……お前は誰だ」


メイメイは唇を震わせ、涙を落とした。


メイメイ「……魔王様……ごめんなさい……」


そして、ナギへ向き直る。


メイメイ「ナギ、君の記憶をもとに戻すよ」


ナギ「お願い。メイメイ」


メイメイはナギに近づく。


メイメイ「こわくないの?」


ナギは微笑んだ。


ナギ「私たち、友達でしょ。 それに、一緒に冒険した仲じゃない」


メイメイ「ありがとう」


メイメイはナギに触れた。


ナギの記憶が元に戻っていく。

アイカとの記憶が、鮮やかに蘇っていく。

ナギの目から涙が流れた。


ナギ「……アイカ君」


メイメイ「ナギ。アイカを助ける方法がある」


ナギ「どうやって!」


メイメイは魔王を指さして、迷いなく言い放つ。


メイメイ「こいつをアイカと入れ替えて処刑する」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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