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 ”「政治……?何の話?」”


 “「……」”


 ”「おーい」”


 “「……」”


 返事が返ってこない。


 返事が返ってこないことに、阿多野真雅は和里芙田里の方へ向くと、彼女が真面目に聞いていることに気付いた。


 なんだよ……もしそうなると、本当に私が悪いみたいじゃないか……


 自分の考え方は理不尽だとわかっていても、少し寂しい気持ちが湧き上がって、仕方なく無精ひげの先生の話を聞いている。


 「いや、ややこしい言い方だったな。聞き方を変えよう。」秒でも経っていないうち、無精ひげの先生はすぐ自分の言い方を変えた。


 この変わり様はまるで今の阿多野真雅と同じく、真面目に聞こうと思ったら、間もなく気持ちが変わって、また自分のスマホを見つめ始めた。


 本心は聞きたくないわけではない。ただ、どうしても何となくで、またつい自分のスマホに見ようとし始めちゃうの。それは、彼女の悪い癖だ。授業中でも、すぐ悪い癖が発揮する現代子だ。


「皆さんにとって、“政治”はどんなイメージがあるのか――」よって、無精ひげの先生の話はすでに入らなくなって、阿多野真雅はポチポチとスマホにタップしている。


 普通、この話の後、“答えたい人ー”、“知っている人、手を挙げてくださいー”などの話になるが……


 無精ひげの先生は、直接名指しでとある生徒の名前を呼んだ。


「――阿多野さん。」


 え?自分は呼ばれたことに予想がつかないようで、阿多野真雅は一瞬ビクと肩が震えてスマホをいじる手が止まった。


 スマホの画面に何らかのメッセージを送ろうとしたが、履歴はまだ何も増えていない。なぜなら、発信用の欄に途中で先生に呼ばれて、打ち止めたメッセージがある。


 そのメッセージの内容は、「わーちゃんはどんなイメー」と。


 明らかに先生の話を聞きながら、打ち込んでいたものだ。


 先生に呼ばれた後、彼女はびっくりして、何の考えもなく反射的に立ち上がった。


「あはい――」と。そう答えた瞬間、次に聞こえたのは、彼女が太ももに置いたスマホが地面に落とした音だった。


 ピャタ。スリスリスリー


 プラスチック製の殻の音。また、落とした後地面にグルグルと回っている摩擦音。


 当然、音をすれば、その音に注目するのは普通のこと。だから、先生も含め、阿多野真雅の近くにいる生徒たちも全員、視線がその落としたスマホに注目した。


 また、これをきっかけに、和里芙田里はここでこっそりスマホを引き出しの中に隠した。


 注目したのは自分ではないのに、こっそりやってはいけないことをやっていることがバレた気持ちは、とんでもなく恥ずかしい。これは今の彼女の心情だ。


 そして、その落としたスマホを拾ったのは、今から講壇を下りた無精ひげの先生である。


 この行動を見て、没収されちゃう……と、誰もが思う。


 大体の学校は、授業中にスマホをいじってはダメだと普通のことだ。この学校でも例外ではない。


 少なくとも、入学式の説明会では、学校側が確実にこのことに言及したことがある。


 無精ひげの先生が教室に入る前に、クラスにガヤガヤと騒がしい風景が見れても、スマホをいじっている生徒がほとんどいないのもそのため。いたとしても、今はすでに隠してある。


 よって、この状況に対して、教室の何人かがそう思い始める。


 “アホだな……”、“なんでこんなことをやるんだよ”、“これ……スマホ禁止されちゃうかも”などなど。口に言わなくても、このような感じの視線で阿多野真雅を責めて見詰める。


 そして、この周りの雰囲気に察知した和里芙田里は、どうすればいいかわからなくて、ただ心配している目で阿多野真雅を見つめている。


 さっきまでスマホに夢中の彼女でも、教室の雰囲気が自分を責めているような感じがした。感じなくても、さっきとある人に忠告されて、無視した良心の不安もある。さらに、良心の不安がなくても、やってはいけないことをバレた後の罪悪感もある。


 だから、阿多野真雅は、ちゃんと恥ずかしいと感じている。火に照らされているような真っ赤になった顔。叱られていなくても、彼女は叱られた子どものように俯いている。


 ただし、無精ひげの先生は、ただ淡々とスマホに近づき、拾ったスマホを彼女の机に置いた。


 「座ったままで答えていいよ」と。無精ひげの先生は彼女に微笑みの笑顔で話しかけた。


 淡々とした口調なのに、微笑みの笑顔なのに、阿多野真雅は、逆に先生が怒っているように感じる。


 なぜというと、実際、圧力をちゃんと感じている。それに、何となく口調が冷たいような感じもする。


 そのため、彼女は「ごめんなさい……」と。


「うん?なんで謝るんだ?」無精ひげの先生は何の表情も変えずにこう言った。微笑みの笑顔が何一つも変わらない。雰囲気もそう……


「授業中にスマホはダメだから……」


 少しの無音。


 1、2、3……


 たったの3秒。


 3秒だけの沈黙は、なぜかとても長く感じる。


 そして、


「まあ、感心できないね、それは。」同じく淡々とした口調だった。


 ただし、今回の口調はなぜか、阿多野真雅は許されたと感じた。


 圧力は消えた。


 心の罪悪感が少しの軽減で、阿多野真雅はやっとゆっくりに座り始めた。


 でも、


「それで?」阿多野真雅が座ったら、無精ひげの先生はまた話す。


 この時、阿多野真雅は心底から疑問の声を出した。


「……え?」


 呼び出されて、辱しめた罰を受けたら、それでいいじゃないのか?と。これは彼女が無意識に考えていたことだ。


 実は、さっき降里陽太のことで、無精ひげの先生のやり方はなんとなく、「あーこれは笑いながら、悪い成績を付けるタイプの先生だ」と思う生徒たちがいた。


 阿多野真雅二人組はまさにその生徒たちの代表。


 何の罰もしてこないだと思ったら、実は内心ではすでに学生の素性と行動に評価し、採点していた。


 悪いことをしたら、学習の態度が悪いという評価点で、成績表の総成績が著しく下がる。


 過去の経験によって、彼女たちはこの先生もきっとこういう先生だと思い込んでいた。なぜそう思うと言われたら、その手法の雰囲気が似ていたから。


 みんなに“これが悪いだよ”と見せしめ、二度としたくなくなるような感じのやり方――降里陽太に実は何もできない、ただの声がでかい悪いやつだと――このやり方に潜んでいるメッセージはこのように捉える。


 だから、彼女たちは思い込んでいた。この先生もきっとこういう先生だと。


 しかし、仮に、何の罰もしてこない先生がいたとして、それは果たして良い先生だと言えるだろうか……あるいは、このことを“こんなの何の罰にならないだろう”と、そう思う生徒がいたらどうなるだろう。


 降里陽太はこの状況をみて、ニヤリと、一つのメモを書いた。


 “スマホ。罰しない”

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