閑話 帰ってきたザノバ
俺はザノバ。カスタニア学園で教師をしている。
「お前宿題忘れたのか!? いい加減にしろ!」
「はい……」
「あ? なんだこれは!? お前ちゃんと授業理解しているのか!?」
「いえ……」
「放課後来い!」
「はい……」
「この問題解ける人はいるか?」
「……」
「なぜ誰もわからない!? この前授業でしたことを使えば解けるだろう!? これは……」
自分で言うのもなんだが、嫌われていると思う。
だがまさかここまでになるとはな……。
自分で今考えてみても苦笑しか無い。冤罪をでっちあげられるとは今まで考えてみたことが無かった。
「お前が犯人なんでしょう? 早く吐くことをおすすめしますよ」
「それが残念俺はやっていないんですよ」
「ではやりそうな人物に心当たりは?」
「いやーそれが自分で言うのもなんなんですが嫌われ者だったのでねぇ。心当たりは全員ですね」
「それではこちらが仕事をできません、誰か言って貰わなければ」
「ですから特定の誰かを言うことは出来ません。そして何もやっていないかもしれない人を貶めたくない。わかりませんか?」
「……そうですね。ではしばらく時間をあげるので、何か思い出したら教えてください」
取り調べは意外と人道的だった。
そんな中、俺は今までを思い出していた。
俺は入学したての時、カスタニア学園に対し、さぞ優秀な学園だろうと期待していた。
なのに、あまり優秀な人物がいなかった。
そして俺はひねくれた。
周りの揚げ足をとれることを見つけてはそれをからかった。
多分嫌われていたんだろうな。
卒業し、成績が優秀な方だった俺は、教師として働くことになった。
もうこの学園に期待することはない。
だから、元の性格に戻ろうとした。だが、もともといた教職員は学園生時代の俺を知っている。
結局は、いままで通り、ひねくれて過ごすしか無かった。
それを、辛く感じるようにもなっていた。
……いつ、変わるべきだったんだろう?
自分に問うてみるも、答えは出ない。
取り調べは3日ほど続いた。
自白を強要されるようなことは無かった。
犯人はアナレウス先生だったと分かったらしい。
だから、釈放された。
……もうこんなことはこりごりだ。
取り調べというのはいい機会かもしれない。これを気に性格を戻してみよう。
「ねえ、最近のザノバ先生おかしくないかしら?」
「そうよね。取り調べで嫌な目にでもあわされたのかしら?」
「心配ねぇ」
「それに、ちょっと不気味じゃない?」
「ああ、分かるわ。それにこうなってから思ったのだけど、前のザノバ先生の方が気が楽だったかもしれないわ」
「分かるわ! 前は言われそうなことは想像つけられたけど、今は何を言われるか全くわからないから少し怯えてしまうのよね」
そんな会話が聞こえてきた。
……なんなんだよ、一体。
俺、もしかしてそこまで嫌われて無かったのか?
何が何だかわかんないが、今のほうが怯えられているというのは心外だ。
「おい、お前! なぜ宿題を忘れた!? 放課後までにもってこい!」
「はい!」
なぜ喜ぶ? 薄気味悪いやつ。
長年でついた癖は時々現れる。その際、怒ったやつが何故か皆、嬉しそうになる。
そして怒る回数が増えるにつき、性格はもとに戻っていった。
だけど、今は自分を受け入れられている。
だから大丈夫。
これからも俺らしく過ごしていこうと思う。




