表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/57

5.準備は終わった

 仕返しのために、あいつらが何を目論んでいるのか、考えることにした。


 が、これ、かなり都合がいいのだ。

 これのお陰で王太子は近づいてこないし、これが成功すれば、セイレーア様はヒロインがいなくなって断罪されることはなくなる。


 都合がいい。セイレーア様にとっては。


 だけど、私にとっては都合が悪い。


 だって、幸せになったセイレーア様を見ることができないから。

 そうだ、目標を変えるとしよう。


『セイレーア様を幸せにし、私もそれを見守る。』


 今日から私は、それのために力を注ぐ。



 こちらは反論できる材料を揃えた。

 後は断罪されるのを待つだけである。早く来ないかな。


 そんなとき、最高学年の卒業パーティーが行われるということになった。たしか、ゲームではヒロインは。ここで選んだ人物と入場できることで、そのルートが確定した。

 だけど、今の私は誰のルートにも入ろうとしていない。


 仕方がない、一人で行こう。


 ドレスに関しては、このような状況下でも、王家が準備してくれるのだそう。とても助かる。

 最高学年の卒業パーティーになぜ在校生が参加しなければならないのか、という疑問はあるが、ゲーム的に都合が良かったのだろう。

 そして、今の私にとっても都合が良い展開だ。



 卒業パーティー当日まで、状況は悪化し続けた。

 私に関する悪い噂話は増えていくばかり。毎回毎回それを否定する根拠を探すのが大変だった。

 あの二人を尾行したりもして、頑張って探した。その際、遺憾なく魔法を使わせてもらった。全属性使えるというのは非常に楽である。



「卒業生、入場」


 卒業生が入ってきた。私は、つい卒業生の人々に見惚れてしまった。みな自身にあふれている。輝いている。それが羨ましかった。


 あの二人は、この素晴らしいパーティーを壊そうとしているということ……になるよね? それはやりたく……ない。

 だけど……


 結局、私には、勇気がなかった。そして、私に対する断罪が始まった。


「聖女、シェイン。あなたの聖女の称号を捨てる……いや、あなたは学園から消えるべきだと思うわ!」


 声高らかにリガーレが叫んだ。

 そう、パーティーなのに一人でポツンと過ごしている私の前で。

 ホールの端っこにいた私の前にセイレーア様を連れてやってきたのだ。

 

 ざわめきが広がっていく。そりゃあ当たり前だ。ここは卒業パーティーであって断罪の場ではないから。


「そうよ! あなたはセイレーア様を傷つけたわ!」


 サスレイアも声高らかに叫ぶ。

 だが、その内容を諌めるものはいない。皆、噂話で私の性格を誤解していた。

 だけど、本当にセイレーア様を傷つけているのはあなた達だ。


 ふつふつと怒りが湧いてきた。


「いったい私が何をしたのでしょうか?」


 さあ、ここからセイレーア様をこのいやーな取り巻きから救ってあげよう。


 そして、私の怒りは最高潮に達する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ