48.やってやりましょう
「解除。」
私は皆に姿を見せることにした。
「なっ、シェイン、そこにいたのか!?」
王太子はしぶとくもまだ残っているようだった。
「浮遊」
私は浮かび上がる。
「光」
そして、後ろから強烈な光を当てる。これで私がどこにいるか、他の人にはバレないはず。
「すげえ…聖女様だ…」
「おお…なんと美しい。」
「どうか我々の願えを叶えて下さい…」
え?
ああーーーーーしくったーーー!!!
これ、どう考えても神様とかのやつじゃん。何やってんの、私!?たしかに場所はバレないけどさぁ。…ていうかこれだったら透明でもよくないなんでこんなことをしたんだろう…
さてさて、他の人の様子は…
「なんで…座っているの?」
あれ?今度は膝をつきはじめた。ええ?まさか礼拝されるなんて無いよね?やばいことになってしまった…
「解除、解除解除解除ーー!」
「あぁ…」
「消えてしまわれた…」
「あれ?聖女様は?」
「ん?あれ、神の姿は何処へいかれたのだ?」
ぎゃあああああーーー!
なんでみんなそんなに悲しむのーー!?それに神様だと!?そんな神を騙るなんて不敬なことするわけ無いだろ!私を神様にあげるなー!!冷静になれー!!!
…うん、落ち着いた。どうやら私も冷静では無かったようだ。
「竜巻11個!」
そう言ったはいいものの、竜巻同士で相殺したりして、まだ5人も残っている。
「火矢!」
「塊!」
魔力の塊をぶつけて効果を打ち消す。どいやら皆はようやく私を敵だと見定めたらしい。
そうこなっくちゃね。
「うわぁ!」
剣が飛んできた。恐ろしい。よく分からない女子からだった。だけど、何か恨まれている気がする、私、何もしていないよね?
「聖女様ー!我ら聖女隊はあなたを応援致します!」
聖女隊の方たちにも応援されてしまった。
聖女隊の人たちの仕事を幻覚のせいで奪ってしまったのは、うん、今でも申し訳ないなとは思っている。
「幻覚」
そうだ、ここでこそこれを使おう。
私は隕石のようなものが落ちていく様子を残った人に見せることにした。もちろん少しずつ大きくしていく。
「ひいいいいぃぃぃぃ…」
これで二人が逃げた。残り3人。カンヴェスと王太子は相変わらず残っている。しぶといやつ。
…とここで思い出した。乙女ゲームの話だ。たしか、ここで勝った王太子はルートに入っていた場合、ヒロインに告白する。つまり王太子は優勝する可能性があるのだ。
よし、やっつけてしまおう!
狙い撃ちに変える。
その間も私は飛び回った。
「幻覚」
次はずっと攻撃が来るのが見える幻覚だ。はじめは逃げるだろう、だけど、これが幻覚であると分かると逃げなくなる。そこがチャンスだ。その時に攻撃を入れる。そしたらあっさり行くという戦法だ。
「うわあああああああ…ん? ……………熱い熱い!リタイア!」
簡単に逃げてくれた。
お礼に後で手当をしてあげよう。
「火の玉!」
「竜巻!」
残った二人が示し合わせていたのか、一斉に攻撃してきた。
お互いの魔法で威力が増している。確かに、狙うタイミングとしてはこれがちょうどいいだろう。人は獲物を仕留めたとき、最も気が緩むというから。
だけど、今回は距離があった。
「塊」
あっという間に魔法は消えていった。だけど、なんとか早く倒さないと…
…あ!これなら行けるかも!
そう思った私は、
「幻」
とっさに唱えた。




