47.始まりました
「セイレーア様はどうするんですか?」
「シェイン様を助けるわよ。」
「それは私がやりたかったこと…」
「では、お互い助け合いましょう。」
「そうね。目指すは生き残りよ。」
「だったら譲ります。」
「駄目よ、わたくしが譲るわ。」
そうなって決着のつかないまま今日がやってきた。
今日は遠足、そしてその場で最終大会が行われる。これは私たちの学年だけでなく他の学年も遠足に来ている。
そして、みんなで盛り上がるらしい。去年、その盛り上がりに参加できなかったことが悔やまれる。
「それでは、ただ今より、最終大会を始める!」
「「「「おう!」」」」
この時ばかりはいつもは貴族ぶっていてもノリに乗る。これが暗黙の了解というやつだ。
「5分後にはじめます。」
広場に皆散らばる。このときはまだ魔法は使えない。
「それでは、始め!」
「透明」
さっそくセイレーア様と一緒に隠れる。あとは、こちらに向かってくる魔法を避けるだけ。動いていたほうが怪しまれないかな?
「この後、どうしましょう?」
「どうもできないわね。」
そんなふうに放してたらさっそく魔法が飛んできた。慌てて避ける。
「攻撃もしましょうか。」
「そうね。退屈だもの。」
これより、私たち二人のコンビによる最終大会荒らしを始めます!
「竜巻」
ヒュルルルル…ドン。
「ぎゃああああ!」
広場の外に行った。これで彼は退場。さすがの貴族様も高所から落ちれば悲鳴を上げるんだ。
「治癒」
一応やってあげた。弁償とかさせられたら面倒だし。
「いいわね。それ。殺さないですむもの。」
セイレーア様はどうやら殺さないことに苦戦しているようだ。
「竜巻」
今度はセイレーア様が使いはじめた。
それだったら私は…
「蔓」
うねうね。いろんな人…特に男子に足に絡みついていく。そしてそれを女子の強い人達が倒してその人達は終了。それでもまだ残ってい男子たちがいるようだ。だけど、今度は女子を狙わせてもらう。
「穴」
土属性、穴。その名の通り穴ができる。ただ、それに少し工夫を入れて、穴の中に落ちた後、上から降ってくるようにしてあげた。
運よく免れた人以外これで脱落…いや、落ちる直前に風を使って昏倒しなかった人はいる。
ただ、これにより残りの人数は13名。
最終大会は序盤だというのにもうすぐ終盤に差し掛かろうとしていた。
「では、私は離脱しますね。」
「わたくしは離脱するわ。」
「「…え?」」
被った。
「セイレーア様?もちろん残りますよね?」
「シェイン様、もちろん残るわよね??」
「「違います(違うわ)。」」
「セイレーア、どこにいる!?」
先生方の声が聞こえた。
「どうしてセイレーア様だけ?」
「さっきに離脱する、と言った声を先生方に風で届けたのよ。だからシェイン様を探しには来ないわ。諦めなさい。」
「そんな…セイレーア様が残らないのに私が残る意味はありませんよ!」
「いいえ、あるわ。わたくしはあなたが残る姿を見たいもの。」
「そんなの…意味がないじゃないですか。」
「わたくしはあなたに救われたのよ。だから一回くらい救わせて。」
「…記憶にありませんけど」
「ちゃんと残るのよ?」
「はい…ご褒美、下さいね。」
「いいわよ。」
私はセイレーア様の作戦に負け、残ることになってしまった。




