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「シェイン様!私に今しばらく付き合ってくれませんか?」

「嫌よ。」

「セイレーア様…ありがとうございます。」

「どういたしまして。」

「そんな…」


十中八九、私に婚約を求めてやって来ている。…どっかの誰かのように。

落ち込む人も現れるが、気にする暇はない。それよりもさばくことの方が重要である。

今、私はなぜ急にそんな流れになったのかは分からないが、いわゆるモテ期というものに入っていた。今までもこうなっていてもおかしくはないのに、である。

…どうやら、飛べるというのはかなり魅力的であるらしい。分かるには分かるが、それは自分で飛びたいというものであり、妻に迎えたいというものでは無いから理解しがたい。


そして…


「わたくしたちで、シェイン様を守るのです!」

「そうですよ!我ら聖女隊にお任せください!」


…不思議な人達がやってきた。

さし

聖女隊を名乗り、どうやら私のためになるようなことをしてくれるらしい。

有難いのだと思う。

ただ、その中に女子生徒だけでなく男子生徒がいるのには疑問を感じざるを得ない。



「ふっ、シェイン嬢、このあと時間をもらおうかな。」


…。何なんだこの人物は。

そう、この世のすべてが自分の思い通りになるかのように思っている態度。一人くらいはいるチャラ男の言い方がきざったくなった感じ。


「無理よ。」

「おやおやそこにいるのはセイレーア嬢ではないか。君も一緒にどうだい?」

「お断りします。」

「ふむ、ではまた来よう。」


「…」

「…」

「おかしな人ですね。」

「そうね。ただ…こんな形で会わなければ面白い方として受け入れられる気がするわ。」

「それはそうかもしれませんね。」

「でしょう?」


そしてふたりで笑い合う。

ふとセイレーア様が真顔になった。


「安心していいわよ、私は王太子殿下推しだから。」

「それのどこに安心する要素があるんですか!?」

「あ、聖女隊の方たちにお礼を言ってくるわね。他にも結構な人を止めてくれていたし。」


話をそらされた。だが、そのことよりもあれよりも多くの人がいたという事実に驚愕した。

…恐ろしや。


「そうですか…。お願いします。」


いろいろなものが抜けていった。残ったのは早く帰りたいという気持ちだけだった。


「帰ろう。」

「シェイン、どんな調子だ?」


その時ぬっ、と王太子が現れた。

セイレーア様…はかったな。あれは王太子が現れそうだったから自分は…と思って帰ったに違いない。


「どんな調子も何も、最悪ですよ。」

「だろう?そこで提案だ。私と婚約してくれないか?」

「お断りします。…何回目ですか?」

「13回目だ。今回もまた断られてしまったが。だけど考えていてくれよな。私はお得だよ。しかも皆が納得するというお得付き。」

「面倒な仕事がついてくるというおまけ付き、の間違いではないですか?」

「…そう来たか。では皆が納得するということに異論はないんだな?」

「ありますよ。平民ですからね。」

「だからそれよりも聖女のほうが皆が納得するのだが…。それに王たるもの強い子供を産ませるのも役割だからな。」

「そうですか…ですが無理ですね。王太子妃の座を狙っている貴族の人たちが納得するというのはありえないことですよ。」

「そうか…まだまだ意思は固いと見える。また来る。」


なんか…王太子とさっきにチャラ男、似ている気がするのは気のせいだろうか?

そんなことを考え、やっと寮についた。

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