40.発見しました
朝起きて、ドレスに着替える。
……もちろんコリンナの手によって。
そして、昨日のうちにコリンナに連絡させてもらったため、今日の午後、セイレーア様とお喋りする時間が生まれた
午前中は、昨日考えた治癒魔術を練習した。
全然出来なかった。治癒魔術っぽいのは光とその対象……植物でいけるかな、と考えたんだけど、まだまだ他にもありそうだ。
全属性が必要な気もするけど、関係ない気もするし……分からない。
セイレーア様にでも聞いてみることにした。
「ようこそ来てくれました」
「こちらこそお誘いいただきありがとう」
「いろんなことがありました」
「そうなの? 教えて」
「そうですね……まず王太子殿下に求婚されました」
これが一番の出来事だ。
「ええっ! あの王太子殿下かしら?」
「ええ。迷惑ですよね」
「そうかも知れないけど……シェイン様なら釣り合うんじゃないかしら?」
「そんな訳無いですよ。そもそも私は平民ですから.」
まさかセイレーア様があちら側だとは……
「それでも、聖女ですからね」
「その聖女のことなんですけど……」
「何かあるのかしら?」
「なぜ、聖女なんてたいそれたものに呼ばれるのでしょうか?」
「全属性は珍しいもの」
「それだけでしょうか? 王妃様は聖女には何かあるのではないかというお考えでした。確かに全属性で珍しいだけでは聖女にはなりえなさそうではないですか?」
まあもとが乙女ゲームだから、そんな深いことは考えられてないと思うんだけど。
「それはそうね。でしたら一体何が隠れているのでしょう?」
「私は治癒魔法を使えるのなら聖女になってもおかしくないと思ったのですが、この前試してみたところ、あまりうまくいかなくて……」
「治癒魔法ね……確かにそれが使えるのな聖女にも納得がいくわね」
「ですよね。複合魔法でそれが実現できると思ったのですが、どの属性がどの意味を持つのかが分からなくて……セイレーア様にも聞いてみたと思ってたんですよ」
「そうなの?」
「はい」
ようやく本題に入れた。
そこからセイレーア様と一緒に考えた。セイレーア様は私よりはるかに創造性が高く、私にはない考えをくれた。
火属性は温かさ、そして体温の維持。
水属性は洗浄。
そんなふうに一緒に考えた。セイレーア様に頼りきりだったけれど。
「ありがとうございます。今、使ってみてもいいでしょうか?」
「いいわよ。わたくしも見てみたいわ」
「ありがとうございます。では……光、水、火、植物、風…… ……治癒!」
最後に一応意味のある単語を付け加えておいた。
対象は植物だ。葉っぱに申し訳ないけど少し傷を加えさせてもらったのだけど……
ぽわぁ。
葉っぱが光った。
「え?」
そして、葉っぱだけではなく、部屋全体へと広がっていった。
「成功、でしょうか?」
「治っている……わ」
喜びよりも戸惑いのほうが勝っている。
「どうしましょうかね、これ」
「王宮で使いましたし、報告するほかないと思いますけど」
「ですよね……」
やっぱやらないほうがよかったかなぁ。王太子に口実を与えちゃう結果になったかもしれない……。
「というかこれ、廊下の騎士の方にはバレているわよね?」
「それはそうですね。では明日、報告しようと思います」
「それがいいわ。また今度誘ってね。空いていれば必ず来るから」
「はい!」




