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4.悪い兆候があります

「セイレーア様、少しお話しませんか?」

「いいわよ」

「え? セイレーア様?」


 今日はあの二人以外の取り巻きが驚いている。私、そんなに嫌われているのかなぁ?


「実は恋バナをしてみたいと思いまして」

「恋バナ? わたくしには無いわよ?」

「気になっている殿方も?」

「ええ」


 そんな……。

 じゃあどうやってセイレーア様を幸せにすればいいの?


 とにかく、今の間は私は誰のルートにも入らないほうがいい。それがセイレーア様のためにできる唯一のことだろう。


 振り返ると、そこにはリガーレがいた。


「あら、リガーレ様、こんにちは」


 そして清らかさを見せに行く。

 今日は何も文句を言われなかった。


 いい加減あきらめた頃かな? だったらもうすぐセイレーア様からも離れていってくれるはず。


「リガーレ、あと少しの辛抱よ」

「ええ、初日から突っかってきて……いい加減我慢出来ないわ」


 サスレイアとリガーレが何かを話している。



 しばらくがたった。

 今まで、編入生という奇妙な立場にも関わらず、私は話しかけてもらえていた。だけど、最近、めっきり話しかけられなくなった気がする。


 ……気のせいかもしれないけど、セイレーア様にも避けられている気がする。

 一体何があったんだろう?


 最近の私は、一人で過ごしている。

 まあ一人で過ごすのも、今急いで叩き込まれている知識を手放さないという意味では助かっているのだけど……


 そして、今日、とうとうどういう現状なのかが私にも分かるようになった。

 噂話が聞こえてきたのだ。


「聞きました? 聖女と呼ばれているシェイン様ですが、最近セイレーア様に嫌がらせをしているそうよ?」

「そういえば、わたくしは先日、シェイン様がリガーレ様にぶつかっているところを見たわ」

「リガーレ様っていつもセイレーア様のお側にいらしてる?」

「ええ」

「それなら本当のことのようね。聖女となるお方だからどんな方かと思えば……あまり好ましくないお方のようですわ」

「残念だわ」


 なるほど、そういうことか。

 これじゃあまるでヒロインである私が悪役令嬢のような……


 いい得てるなぁ。


 小説の中の悪役令嬢は、いっつもやっていないことをやっていることにされた。私はいくつかはしたものもあるけど、それが曲解されて、私が悪者であるかのようになっている。

 そう、まさに悪役令嬢がざまあするパターンだ。


 私は、この計画にはセイレーア様に意思はないと思う。

 取り巻きに乗せられて、曖昧に過ごしていたらこうなっているだけだと信じて、私はこの策略を考えた本人だと思われるリガーレとサスレイアを、ざまあしてやろう。


 あいつらなら、きっと私をみんなの前で断罪してくる。


 さあ、ここでこそ前世の本好きの経験を生かし、必ずあいつらに勝ってやろう。


 そう覚悟を決めた。


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