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33.SIDE アナレウス

 何故だ!? 何故バレた!?


「少し、アナレウス先生を探ってみようと思います」

「どうやって?」

「スピリアで」

「ああ、なるほどね」

「正確には仲間の方ですけど」

「確かに便利そうね」

「便利だからこそ、あまり乱用しないように気を付けておかないといけませんね」

「そうね」


 思い出すのはついさっきまでされていたこの会話。廊下を通っていた時に聞こえた。

 この声は……セイレーアとシェイン。


 もしかしてバレたのか!?


 俺はいつもどおり過ごしていたはずだ。

 そしてあいつらは捕まったとき、ゼノバ先生だと言って、実際ゼノバ先生は捕まっている。

 なのになぜ怪しまれている!?


 分からない。


 さらにシェインはスピリアというナニカを使って探りを入れるのだそう。

 何かはよくわからないが、あのシェインが使うものだ。ろくなものはないだろう。


 そうだ、明日だ。明日、あいつを誘拐し、署名をさせてもらおう。


 早速次の日の放課後、さらうことにした。

 今のところスピリアとやらが来た形跡はないし、確定には至っていないと思うが…、

 


 セイレーアがいたが、さっさとさらうことにした。


 たださらった後が大変だった。シェインはあまり騒がなかったのだが、セイレーアがなかなか離れてくれないのだ。

 しばらく経ったらやっと離れてくれた。


「よし、いなくなったな。じゃあ行くぞ。喋るなよ」



 夜、シェインの意識がないうちにさっそく書類にサインをさせようとした。


 これからは俺の指示に従う……つまり服従させるやつだ。

 シェインが書いたという事実が重要だから、本人に意識があったかは正直どうでもいい。

 だからあとは書くだけのはずだった。


 だが、上手くかけなかった。

 自分はちゃんとシェインの手を動かしているのに、動いてくれない。

 手に何かの意思があるかのようだ。


 ……少し、気味が悪くなった。



「起きたか?」


 シェインが目覚めたようだ。


「早速だが、この契約書にサインをしてほしい。ペンを持て!」

「お前、今の立場分かっているのか?」

「分かっているならもし拒否した場合、どうなるか分かっているのか?」

「せいぜい愉しむだけさ」


 一方的な掛け合いが続いた。そして……


 パンパンパンパン。

 乾いた音が響いた。俺のの手と足から血が出ていた。


「……は?」

「私は無力ではありませんよ。この場所にも時期に助けが来ます。先生の失敗は、事を急いでしまったことですね」

「……」

「まだ何かありますか?」

「ある」

「急いて事を仕損じかけている先生に、まだそんなものがあるんですか?」

「そうだ」


 それに、多少は急いたとはいえお前の手が変にならなければ成功していたのだ!


「それは楽しみですね。しかし、もうゲームオーバーですよ」

「は?」


「シェイン様!大丈夫!?」



「救援の到着です。」



「…」


 そう言ってシェインはにんまり笑った。

 このタイミングと言いその顔といい……悪魔め……やはりお前が聖女とは認めない。


 その後、徹夜と多量の出血が聞いて、俺の意識は落ちた。


 目が覚めると、取り調べ室にいた。聖女に対する過失の現行犯として捕らえられたようだ。


 あんな悪魔が聖女なのだ…ろ


 認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない。



 俺は絶対に認めない!



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