32.救援の到着です
『もうすぐセイレーアが来るよ』
(教えてくれてありがとう)
『いいえー』
「まだ何かありますか?」
「ある」
「急いて事を仕損じかけている先生に、まだそんなものがあるんですか?」
「そうだ」
「それは楽しみですね。しかし、もうゲームオーバーですよ」
「は?」
「シェイン様!大丈夫!?」
「救援の到着です」
そんな私は、悪魔に見えていたかもしれない。
「……」
その時の先生の顔と言ったら……
本当にポカンとしていて面白かった。不謹慎かもしれないけど。
その後は普通におとなしくしてくれた。
ただ、少し残念だ。やりがいがなさすぎる。
前の断罪騒ぎではあの令嬢たちの反論は見苦しいといえども、こちらも楽しめた。
そして前の襲撃の時は戦いも楽しむことができた。
そして、今回。
私はただ一晩明かしただけだ。あちらが正体も言ってくれて、何も私が頑張るところはなかった。
「シェイン様、大丈夫?」
「ええ。だけど、お腹がすきました」
もしかして、アナレウス先生は食事を与えないことで自分の優位を保とうとしたのかな? それだったら効果があったかもしれない。
先生は愉しませてもらうとか言っていたが、この様子だと本当にそれを遂行できたかさえ疑問に思えてくる。
「それは大変ね。あとはわたくしたちに任せていいわ。あなたはまず安全を計りなさい」
そして、王太子がやってきた。
「少しの間、我慢してくれ」
よく見ると、カンヴェスもベルーゼもいた。
ありゃりゃ……
まあこんなけいれば大丈夫か。
「蔦」
また万能な植物魔法で乗り切ることにした。
「では気を付けてください」
「分かっているわ」
そして、私は寮に行く……と思ったら保健室に連れていかれた。
そういえば、今日は学校があるはずだ。
それなのに来てくれたなんて……。4人には感謝しかない。
「シェインを連れてきました。特に弱った部分はなさそうだがお腹がすいているそうなので何か食べさせてやってください」
「はいはい、分かりました」
そして、私は1日弱ぶりの食事を食べた。ついでに手も洗ってもらった。インキの汚れはあまりきれいには落ちてくれなかったが、いずれはとれるだろう。
そして、また警吏の人に取り調べを受けた。
「やはり今回もあなたが関わっていたんですね。彼が黒幕だというのは本当ですか?」
「そうですよ」
そしていつも通りなんやかんや聞かれて、事情を説明して……
その時に精霊と話せることも伝えた。
今思えばこれは失敗した。だけどこれを説明しなかったらもっとおかしなことになる。
『ねえねえ』
ん?
『ねえねえ、シェイン』
(何?)
『スピリア、一個頑張ったんだよ』
(いつ?)
『シェインが寝ているとき』
(そうなの?)
『そう、あの男を困らせてやったの』
(ありがとう)
そして内容を聞いて、この日は授業は休み、寮に帰ることにした。




