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29.国語なんてしたくないです

 結果発表があった。


 何のか、というと、この前の遠足での試験の結果だ。


『一位:シェイン・セイレーア・ガベーナ・カンヴェス』


 だった。

 ちなみにガベーナというのは王太子の名前だ。


「何故かわかるか?」


 先生が皆に問う。

 周りを見てみると、みんな首を振っていた。


「ではシェイン、答えろ」


 私!?


「そうですね。先生が欲しかった薬草をたくさん拾ってきたからじゃないでしょうか?」

「そうだ。他の班は時間を急ぎ、その上で目ぼしいものを摂ろうとした。だが彼らは違った。時間で貰えるであろう評価を始めから採ることで成り変えようと考えていたのだ。そしてこれがその結果だ」


 褒めてくれているところ悪いけど、これ、チートしているんだよねぇ。

 とっても気まずいやつだ。


 そして、軽く先生のお説教というかお話というか……そういう物があり、この日は授業が終わった。



 私は、警吏の人に呼ばれていた。結果を教えてくれるのだそう。

 早速行ってみることにした。


「それで、取り調べの結果、彼らはゼノバというカスタニア学園の先生の命で動いていたそうだ。」


 へえ、今回は当たりだな。


「そんなところまで分かるんですね。ありがとうございました」


 そして、特に他の報告はなかった。

 セイレーア様にもその結果は伝えた。


「本当にそうなのかしら?」

「どういうことですか?」

「ゼノバ先生とは関わったことがあるけど、確かに嫌われもので、自分からも嫌われるようなことをしている人だったわ」

「だったらやっぱりゼノバ先生なのでは?」

「だからこそ、よ。ゼノバ先生は確かに嫌われるようなことをする先生だわ。だけど、対人においてだけど、実力行使はしたことがないのよ、しかも先生を何十年続けているのよ? それなのにそんな簡単に先生の職を棒に振るうかしら? というか実力行使も出来ない先生だと思うわ」

「セイレーア様がそう言うなら……」


 もう一度考えてもいいかもしれない。

 だけど……


「だったらどんな考えがあると思いますか?」

「嘘なんじゃないか?」


 声が聞こえて振り返ると、王太子がいた。


「嘘、とはどういう事ですか?」

「話を聞いていてすまない。嘘というのはそのままだ。その警吏が嘘をついてそれらしい先生を挙げたのではないか?」

「なるほど…だったらそれよりは犯人が嘘を付いてゼノバ先生に仕立てている、という考えもできますね」

「そうだろう?」

「ええ」


 確かにこれは疑おうとしてみなかった。


「もちろんゼノバ先生だということもあり得るが、それ以外だということも考えてこれからは行動するがいい」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」


 私とセイレーア様、二人で感謝を伝える。


 これで、あちらの思惑を少しは超えることができただろうか?

 それができたなら、これからは安心だ。


 私は、黒幕を倒して、セイレーア様を幸せにするんだから!

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