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27.怪しさ満載です

「どうした!? 何があった?」


 すぐに先生はやってきた。私たちはこの人たちに襲われたことを説明する。


「この人たちを? 見たところ強そうだが……お前達が勝ったのか?」

「そうですよ」

「ほう……分かった。警吏に渡そう」


 そんなことを言ってきたのだが、何だかこの先生、きな臭い。


「いえ、そういうことではなく」

「じゃあ何だ?」

「これは私たちで持っていきます」

「これ……ああ、うん、まあそうかもな……」


 その先生は蔓に巻かれている襲撃者を見て何か納得したように頷く。


「それで、もしかしたら遅れるかもしれないことを伝えておいてほしいんです」

「分かった。だがそれでいいのか?」

「どういうことですか?」

「遅くなると、その分得点も減るが……」

「構いませんよ。十分な量の植物を取っておいていますからね」

「そうか……だったらいい」


 そして、その先生は帰っていった。


「シェイン様、何で先生に頼まなかったの?」

「ああー、なんとなく信用できない気がしたんですよねぇ」


 私たちは森を歩きながら会話をする。


「まあこの人たちの重さは空属性でなんとかなるので、そこまで大した手間ではありません」

「それはそうかも知れないけど……。まあいいわ、シェイン様には何か考えがあったのでしょう?」

「ええ、多分」


 そうでもないときな臭さを感じることはないだろう。


「だったら信じるわ」


 セイレーア様が、可愛い!

 王太子にカンヴェス、このセイレーア様を見ろ! きっと胸を打たれるだろう。


「ありがとうございます」


 そこから私たちはただ黙々と歩き続けた。


 もちろん途中に面白い薬草があったら採ることにした。


「到着です!」

「到着したわ!」

「到着だな!」

「終わったな!」


 森……林を抜け終わった時にはみんなそれぞれ達成感を抱えていた。


「これが植物です。指定されているものを推測して採ってきました」


 あとは先生に提出して、警吏の人を呼んで、そして終わりだ。


 ……私たちは。



 他の人は帰った後はいろいろ楽しく過ごしていたらしい。しかし私たちはそれが出来なかった上に、さらに取り調べが待っていた。


 毎回毎回この取り調べというのは悪いタイミングでしか起こらない。

 楽しく過ごしたいという時に起こり、つまらないという時には起こってくれないのだ。

 扱いが非常に難しい。



「……またあなたですか」


 なんと、前回と同じ取り調べ官だった。


「そのようですね」

「それでは話を聞かせてもらっても?」

「はい」


 そして説明した。


「なるほど……シェインさんは狙われているのですね」

「あ……」


 そんなところまで喋ってしまった。これからはもう少し自重しよう。


「まあ話は以上です」


 慌てて取り繕う。危ないところだった。


「分かりました。他の人とも照らし合わせ、おかしなところがあったらまた呼びますがよろしいですか?」

「はい。……あ、あと、黒幕を聞き出してくれませんか?」

「黒幕……ですか?」

「はい。少し前の卒業パーティーで退学を目論まれたんです。それには黒幕がいるらしくて。今回も私が狙われているから同じ人物が裏で手を引いている可能性も……」

「分かりました。そこについても聞いておきましょう。結果はまた来て下さい。そこでお伝えします」

「分かりました。ありがとうございます」


 そして、無事に取り調べを終えた。その場にはとっくに取り調べを終えた王太子がいた。


 ……王太子の取り調べの担当になった人、可愛そうだな。


 つい同情してしまった。

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