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20.お出かけです

 

「セイレーア様、明日、街に行きませんか?」

「街?」

「そうです。一緒に買い物でもどうか、と思いまして……」

「買い物? 楽しそうね!」

「ですよね」

「行きましょう!」


 そこからは簡単に決まった。


「侯爵家は街に出るのは問題無いのですか?」

「普段は護衛を連れているのだけどね」

「それなのに2人で行く、というのは大丈夫なのですか?」

「いいじゃない。細かいことを気にしなくても」

「それはそうですね。何かあっても私が守ります」

「わたくしもよ」



 さて、当日になった。


「では行きましょうか」


 セイレーア様に部屋に迎えに行って、お出かけスタート!


「セイレーア様は趣味とかあるのですか?」

「趣味?あまりないわ」

「だったらそれを探しましょう!」

「……え?」

「趣味見つけたら楽しくなるのですよ!」

「そういうシェイン様は何が趣味なの?」

「そうですね……読書、でしょうか?」


 これは前世での話だけど。今宵でも嫌いではないし、嘘はついていない。


「……あ」


 目の前に、攻略対象者の一人、ベルーゼ・カムイがいた。

 キョロキョロして何かを探しているようである。


「どうしたの?」

「ベルーゼ様がいますね」

「……本当ね」

「何か探していそうですね」

「そのようね」

「聖女としては助けるべきでしょうか?」

「そうでしょう、わたくしも手伝いますわ!」


 ……これは、行くしかないかぁ。


 ベルーゼルート、ベルーゼルート……こんな場面あったっけ?


 まあ関わっていないから新たなイベントらしきものが増えても仕方がないとは思うけど、まさかその場に私が出くわすなんて……


 これがゲームの強制力というやつ?


「ベルーゼ様、何を探していますか?」

「お前は……シェイン、セイレーア」

「名前を覚えてもらえていて光栄です。ところで何を? よければお手伝いしますよ?」

「いや……いい」

「ベルーゼ様、何かお困りではないの?」


 なんと! セイレーア様も声をかけてくれた。

 セイレーア様に誘われて断らない男は……私がルートに入らない限り、あるわけがない。


「異母妹を探していて……」

「妹ですか?」


 ベルーゼに妹なんていたっけ? まったく記憶にない。


「ああ、母親違いの妹なんだが」

「迷子、ということですか?」

「いや、迷子な訳が無い!」

「どういう場面で見えなくなりましたか?」

「混雑の中……」

「それは迷子ではないの?」


 セイレーア様も突っ込んでくれた。


「迷子ではない!」


 なぜ頑なに迷子を認めないんだろう?


「根拠でも?」

「勘だ!」

「では、まずは迷子だという前提で動きましょうか。迷子になったらどうするつもり、とかは決めていましたか?」

「いや?」


 そう言えば……


「護衛の方はいませんの?」


 セイレーア様と考えていることが被った。


「あ……」


 どうやら、忘れていたみたいだ。


 だけどそれでも不思議だ。

 護衛対象が2つに分かれたのにそれでも何も報告しないなんて……。これにも事情があってもおかしくはない。


「聞いてくる!」

「ええ、それがいいと思いますよ」


 慌てて護衛の元へ向かうベルーゼを見送った。

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