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18.SIDE 恋する乙女(の考察)

 

 とあるところに小説のように王太子に恋する少女がいました。

 だけどその少女は王太子殿下と関わる勇気を持てませんでした。

 その少女はあまり身分がよくなかったからです。


 その少女が私だ。子爵家出身の4年生。

 そして、子爵家出身がゆえに王太子殿下に話しかけることなどできないでいる。



 去年のこと、一人、編入者がきた。

 彼女……シェイン様は孤児出身で、急に全属性の才能に目覚めたんだそう。

 そして、聖女と呼ばれる存在になるべく、この学園に入学してきた。

 そう聞いている。


 シェイン様は、セイレーア様に嫌がらせをした、という噂が流れた時もいつも通りに過ごし、それを論破してしまったのだ。

 相手は修道院送り。


 残念だったな、そうとしか思えない。


 シェイン様は約一カ月の謹慎。そして、それが明けて再びシェイン様を見たとき、眩しい、と感じた。


 それは、王太子殿下も同じだったのだろうか?


 王太子殿下がよくシェイン様に話しかけているのを見かける。今まで、王太子殿下は他の人に積極的に話しかけるようなことはしなかったのに、だ。


 私は、それをシェイン様に恋をしているのではないかと考えている。

 王太子殿下にその答えを聞くことはできないけど。


 また、先日、魔法の授業の時、シェイン様、セイレーア様、カンヴェス様が魔法の才能に目覚めた。噂によると、少し前から三人が一緒に行動しているのを見かけていたらしい。


 誰が教えたか? それは聖女たるシェイン様しかいないだろう!


 みんなそう考えて、シェイン様の元へ行き、すぐに諦めて戻ってくる。


「カンヴェス様に頼んだら? ですって」

「ああ、貴方、カンヴェス様に興味を持っていたじゃない、行ってみたら?」


 そのカンヴェス様についても怪しいことがある。

 セイレーア様とも仲は良さそうなのだが、非常にシェイン様のことをよく見ている気がするのだ。

 魔法マニアらしいから、全属性のシェイン様が羨ましいのかもしれないけれど、私の勘は告げている。


 カンヴェスはシェイン様に恋に似た感情を抱いている、と。


 恋だと断定できないのがつらいことだ。


「うん、もちろん行くけど……一緒に行かない?」

「私はいいかな、王太子殿下のほうがいいし」

「あなたは変わらないね~。じゃあ一人で行くか」

「うん、頑張ってね」


 そして、すぐ戻ってきた。


「俺には教える技量がない、だってさ」

「噓でしょ!? あのカンヴェス様が?」

「そう!」

「つまり……シェイン様を上だって認めたってこと?」

「少なくとも指導者としてはそう考えていそう」


 そうか……


「セイレーア様、羨ましいなぁ」

「ね、シェイン様に仲良くしたいと思われていたんでしょう? 羨ましいわ」

「どうやったらそう思ってもらえるんでしょう?」

「……聖女様の考えることなんて、わかるわけがないね」

「そりゃそうだ」


 私たちは、あっさり考えることを諦めた。


 シェイン様、かぁ。


 王太子殿下にもカンヴェス様にも好意を持たれるなんて……

 誰に落ち着くのかな?


 これからが少し、楽しみになった。

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