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16.これが成果です

「では魔法の授業をはじめる。まず、今日は的あてをしようと思う。一人一回は当てられるようになってくれ」

「「「「「はい」」」」」


 そして、何かの順番で呼ばれ始めた。


「では、次、シェイン」


 私の出番がやってきた。


 一つ、疑問に思われるかもしれないけど、私に名字はない。養子に……という話もあったようだけど、その時のシェインはすべて断ったみたいだ。

 こちらとしては非常にありがたい。


水の矢(ウォーターアロー)


 スピリアを通さず、自分で魔力を変化させる。


 水は弓矢の様に飛んでいって、綺麗にあたって周りに散らばった。


「すごいな……。シェイン、どうやって力をつけた?」

「昔の魔法を練習したのです」

「昔? 昔のほうが威力が高かったのか?」

「これを見るにそうではないでしょうか?」

「……。では次、セイレーア・リチーア!」

「はい」

「頑張ってくださいね」


 セイレーア様だもん、きっと大丈夫でしょ。そう思いながら、成り行きを見守る。


水の矢(ウォーターアロー)!」


 綺麗に飛んでいった。そして、私のやつと同じく綺麗にあたって分散した。


 セイレーア様の属性は水と風。その中でも水が最も強い。


「では次……」


 先生は一度眉をひそめたが、スルーした。


「上手く行きましたね」

「ええ、始めにシェイン様がやってくれたお陰であまり驚かれずにすんで良かったわ」

「いえ、あまりそれは意識していなかったのですけど……」

「まあいいじゃない。わたくしは助かったのだから、大げさに言えばあなたに助けられた、ということよ」

「それはまた……大げさですね」


 私には相応しくないと思う。


「そんなことはないわ」


「では次! カンヴェス・ヴァレンティア!」

「はい!」


 次はカンヴェスだ。成果が出て欲しいけど……


火の矢(ファイヤーアロー)!」


 火は矢のように飛んでいき、的にあたって……消えた。流石に銅を燃やすのは難しいようだ。


「カンヴェス? 一体どうした!?」

「少し練習したので」

「魔法は練習では対して上手くならないはずだが?」

「俺も、昔の方法を使ってみたんですよ」

「シェインが関わっているのか?」

「そうですね」

「そうか……」


 なんで私までバレるの!? そこはセイレーア様でも良くないか!?

 そしてそれで納得しないで!

 まるで私が異端であるこのようにしないで!


 ただ、皆成果は確実に出ているようだ。


「シェイン、お前は何をしたのだ?」


 あぁ……王太子がやってきた。


「少し、教えただけですよ」

「その前に少し前まで孤児だったお前がなぜそんな昔の魔法を知っている?」

「私が聖女たる存在だからですよ」


 そのお陰でスピリアを見ることが出来たんだから。


「そうか……」


 え? ちょっと待って、そこ納得する部分なの? 何かもっと言ってくるかと思っていたのに。

 こんな説明で本当に言いわけ!?


 そして、私をまるで眩しいものを見ているかのように2度、目を瞬かせた。


 ……どういうこと?


 もしかして……何もやっていないつもりだけど、好感度を上げてしまった?


 聖女の態度は確かに好感度を上げる高位だけど、下げる行為もたくさんしたのに。


 わけがわからない。わけがわからないときは……そう、


「セイレーア様、早く移動しましょう。」


 逃げるに限る。


 ちなみにセイレーア様の取り巻きは、今は2人だ。だけどあまり関わってくることはない。素晴らしい人材だと思っている。名前は覚えられていないけど、いつかは覚えたい。


 そして、この時間は思わぬ発見? をしてしまって終わった。


 ……本当にどうすればいいんだろう?



 私は、カンヴェスと関わることで不埒なやつという印象を言えつけるつもりだったのに!


 なんでこんなに上手くいってくれないのぉ〜!!


 声に出して叫びたくなった。

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