12.極めたいと思います
「スピリア……精霊のことはどんな単位で呼べばいいの?」
『そうね……一体とかでいいんじゃない?』
そんなふうな会話をしながら、私たちの謹慎生活は半ばまで差し掛かった。
始めの予定通り、部屋でずっと過ごせているし、勉強も進んでいる。
精霊は長生きだから、いろんな事情まで教えてくれるのだ。歴史に関しては大いに捗った。
「精霊ってどうやって増えるの?」
『神聖なるものが集まったら生まれるよー』
「神聖なるもの?」
『そこまでは私には分からない』
「そっか」
もう一度言おう、この精霊たち、非常に長生きなのである、そして歴史に詳しい。
それが何を指すかというと……そう、私は平民にしては不自然なほど歴史に詳しくなってしまったのだ。他国の歴史にまで!
これには驚きしかない。
ただ、これのお陰で成績が悪くて落第! とかにはならなさそうだから安心だ。
スピリアには食べ物として時々魔力をあげている。
で、その魔力のことについて、進展があった。
精霊と意思疎通ができることにより、その精度が上がったのだ。
そして、私は精霊じみたことも出来るようになった。
ちょっとだけど、精霊に力を与えなくても魔法が使えるようになったのだ。これは大きな進歩である。
スピリア曰く、
『昔はちゃんと魔法を学んでいたんだけどね。めんどくさくなったり、習得に時間がかかるようになったりで楽することを人間は選び始めたんだよ』
だそう。
だとしたら少し悲しいものがある。だけど、鍛錬すれば習得できるらしい。
転生者なんだから、と思い、私はこの少し常識から外れていることも練習してみた。
その結果、精霊に力を与えるより遥かに大きい結果が返ってきた。
「ねえ、これちゃんと習得したほうがよくない?」
人間にとっては大きい魔法を使えてメリットがいっぱいあると思うんだけどなぁ。
『まあいいんじゃない? 精霊も簡単に魔力を得られるし。人は楽をできるし』
そんなものかなぁ。
「ところで、精霊って一人に一体?」
『そうだよー。魔力がある人の中からその精霊が気に入ったものにだけ協力するの。だから力は多くても使えない人とかもいるし、魔力が少なくても強い精霊が付くと強い魔法師となることもあるよ』
「へぇ……じゃあ私は運がいいね。スピリアって強い精霊でしょ?」
『うん! ……だけど、シェインにはあまり意味がないかもね。一人でも出来るようになったことだし』
「いや行かないでよ? まだ全然なんだから」
『うん、分かってる』
そして、勉強は進み、魔法の習得も進め……。
だいたい一ヶ月がたった。明日が始業式だ。
「シェイン様、元気でしたか?」
「セイレーア様! ええ、元気でしたよ。セイレーア様も?」
「ええ、わたくしも元気よ。それで……シェイン様は大丈夫でしたの、この一ヶ月ほど?」
「もちろんですよ。私にはスピリアが付いているんですから」
「それもそうね。では、明日を楽しみにしておくわ」
「祈っておきましょう、同じクラスであることを」
「ええ」
「あと、面白い報告もきっとできると思うので、楽しみにしていてくださいね」
「今、教えてくれないの?」
「ええ。見る方が早いですから」
「そう、ではさらに楽しみになったわ。また明日、会いましょう」
「ええ」
明日、この魔法を見せよう。