11.友達が来てくれました
「シェイン様、大丈夫ですか?」
この声は…
「セイレーア様?」
「そうですよ。ところでシェイン様、あなた謹慎になっていたの!?」
「そうですよ」
「どうして? 理不尽だと思わないの?」
「私はあの計画があると知りながら見逃していましたからね。卒業パーティーを乱したという点で、私にも責任はありますよ」
「それを言うならわたくしにだってあるわ!」
謹慎中なのにどこで会話しているのか、と思われるかもしれないが、扉越しである。
見張り役の人には食材を買いに行ってもらっている。
セイレーア様はなんとタイミングがいい方なのだろう。
「いえ、ないですよ」
「あの二人をわたくしが御しきれなかったから……」
「そんなことは、気に病む必要はありません。あの二人が悪いのですから。だいたいセイレーア様はこの計画を知っていたわけではないのでしょう?」
「ええ……そうね。」
「だったら何の問題もないですよ。それよりも何か学園で面白いことがありました?」
「もう学園は春休みに入ったわ」
もうそんな頃合いか。
「セイレーア様は帰らないのですか? ご実家から連絡が来ているのでは……」
「だけど友人を一人で過ごさせるなんて……」
やはりセイレーア様はお優しい。だけど、
「安心してください。精霊の友達が出来たのですよ」
「精霊……言葉を交わせるの?」
「私は全属性なので。スピリア、声を聞こえさせるようにすること、出来る?」
『出来るよ』
「え? 今、一人、よね?」
「ええ。精霊を数えないなら、ですけど」
「精霊って本当に存在しているのね!」
「そうですよ」
『そうですよ』
「謹慎が開けたら……」
『流石に見ることは出来ないと思うわ』
「そう……」
流石スピリア。心を読んでくる。
「姿は見せることは出来ないらしいけど……」
「声を聞けるだけで充分よ!」
なんかセイレーア様がすごい勢いで…。
そんなに精霊に会いたかったのかぁ。じゃあ叶えてあげることができてうれしいな。
「セイレーア様、私は元気にやっているので心配しなくても大丈夫ですよ。それに……一人ではありませんし」
「……そうね。また、春休み明けに会いましょう。あなたと同じクラスになれることを祈っているわ」
「私も祈っています」
だけどね……セイレーア様と同じクラスになれるんだよね。王太子殿下もだけど。
ここで王太子ルートに入っていたら、一緒のクラスだな、と喜び合う場面が入ってくるのである。
まあ、今回はそんなことは起こらないはずだ。
その時、セイレーアは、少し寂しさを感じていた。
お友達になれたのに、わたくしにはあなたと関わりたいのに……。
だけどあなたはわたくしがいなくても構わない。
そのことが、セイレーアの心を、痛めた。