【プロットタイプ】あだ名を付けてあげよう
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
鏡花のあだ名の話。
クールなキャラ相手に『ちゃん』付けするのは、中学の時から。
だってその方が可愛いから。
鏡花は親しい人物には漏れなくあだ名を付ける。瑠衣の事は『瑠衣たん』。私の事は『ゆらりぃ』。麗衣の事は『麗衣ちゃま』。どれも一風変わったものだった。
創作部に入り、ある程度活動グループが定まって来たところで、紅一点が嬉々として提案した。
「じゃ、同じ活動をする仲間として、あだ名を付けてあげよう!! 瑠衣くんは『瑠衣たん』、諭羅くんは『ゆらりぃ』ね」
私達、一人一人を指差して宣言する。言い終わると得意げに鼻を上に上げて、胸を逸らした。犬でも猫でも褒めて欲しい時の反応だった。
其れに対して瑠衣は無反応。筆が乗っているのか、視線はメモに注がれて、ただ黙々と作業を続けていた。
「何……その『ゆらりぃ』って」
「呼ばれるなら可愛い呼び名が良いじゃん」
戸惑う私を他所に、鏡花は悪びれるなく、此方を見る。其のきょとんとした顔は『何か問題があるのか?』と書いてある。
別に呼び名なんて相手が適当に付ければ良いと思っている。ただ其れと同時に私の心に突然踏み込まれた気がして、やや警戒してしまう。
「一応、由来はあるんだよ。『ゆらりぃ』って言うのは、君のその柔らかくて掴み所のない雰囲気から。桜にでも攫われてしまいそうな儚さから」
その考えに、思わず口を引き結んだ。何でも無いように振舞って、何も知らない顔をして、この子は存外、人の事を見ている。見て、理解して、それを素知らぬ顔で叩き付ける。上手く躱そうとしても、逃げ道を全て塞ぎに掛かりに来る。そんな気がした。
「嫌? この呼び名。貴方がどんなに掴み所が無くても、仮に与えたこの呼び名は、きっと貴方を掴む道筋となる。だから変える気はないよ」
そう、冷たく宣言した後、また何でもない顔で笑う。
「『瑠衣たん』はねぇ。可愛いから!! 無愛想でお堅い人程、可愛い呼び名が良いんだよ。ギャップあって、人気になるからネっ」
「俺が人気になってどうする。目を向けられるべきは作品だろ」
相変わらず冷たい物言いをしていたが、特段訂正をするつもりは無いようだった。きっと私達の一部始終を聞いていて、反発しても無意味だと感じたのだろう。
「はい。じゃあ君達は、今日から、『ゆらりぃ』と『瑠衣たん』ね。私の事も、適当に呼んで良いからね」
帰り際、鏡花さんが玄関まで見送りに来てくれた。何時もは瑠衣さんが気まぐれに来たり来なかったりしていたが、今日は居ないので、鏡花さんだけ。
「仲良くなった証に、あだ名を付けてあげよう。『きりたんぽぽ』か『きらりん』。どっちも気に入ってるから、あとは成り行きに任せるよん」
「は……はぁ……」
ネーミングセンスが独特だと知ったのは、瑠衣さんの事を『たん』付けで呼んだ時からだった。今さら困惑するのも変な話である。
「じゃあまたね〜。きりたんぽぽ。ゆらりぃに宜しく言って置いてね」
『きりたんぽぽ』は字面が可愛いので、採用しました。
実際に呼びやすいのは『きらりん』の方。
可愛い子には可愛い呼び名を付けてあげよう(*´︶`*)ノ
という訳で、諭羅のあだ名の由来でも。
特に深い意味はなく、『ゆらぐ』から。
桜でも散る様に掴み所がなく、逃げてしまうから。
当の本人が滅茶苦茶、心の壁が分厚いタイプなので、まぁ納得。
あだ名付けられると、突然距離が縮まった気がして、内心嫌そうな。諭羅。
瑠衣の事を『たん』付けで呼ぶのは、半分は嫌がらせ。
無愛想でクールなキャラにやたら可愛い敬称を付けるのは中学の時からです。
その方がギャップがあって売れると思ってるから。
ちなみに瑠衣は気に入ってる訳がありません。
そんで鏡花も『好きに呼べ』というもんだから、物凄い呼び方するんですよ。
『犬っころ』とか『ムクドリ』とか。
『アバズレ』はまだだったっけ?