ep.8 LoHiのオリジナル5による定期会議
東京都某所——高層ビルの一室
新アイドルリーグ『LoHi』発起人5社、通称「オリジナル5」の定例会議が行われる会議室には、すでに各事務所の代表が揃っていた。
「それでは、会議を始めます。」
テーブルの中央で会議を仕切るのは烏森芸能の代表、烏森 雅。
この新リーグを立ち上げた張本人であり、今、芸能界において影響力を持つ男の一人だ。
各事務所の代表が頷くと、会議が始まった。
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◆ 現在の参加ユニット状況
「さて、まずは現状の整理から」
烏森が手元の資料をめくる。
「先日、取り決めをした通り、リーグ初年度の参加は8ユニット。そのうち、5ユニットは、我々、リーグを発起した事務所からの参加が決定しています。」
「残る3枠をリーグ参戦を表明した事務所から決める訳だな。」
そう言ったのは、ダンスグループ、ラッパー、DJが数多く所属するムサシエンターテインメントの社長、古希 武蔵。
彼は今も現役ラッパーとして活動しており、その口調はラフだが、今、最も注目されている業界人の一人である。
「で、現時点で参戦を表明しているのが、キャラランドと江ノ島プロモーションの2社、と」
アポロプロの代表朝日陽翔がPC画面を操作しながら言う。彼は冷静な口調で続けた。
「締め切りは7月31日。まだこれから名乗りを上げる事務所が現れる可能性は十分にある」
「……というか」
突然、AMNUZMの代表 雨野功太郎が笑いながら言った。
「キャラランドって、元々、マスコットキャラクターの事務所だろ? どういうつもりで参戦を表明したんだ?」
「私も気になってたわ」
BENの代表 八手 美和が肩をすくめる。
「まさかマスコットキャラクターがユニットを結成して出場する訳じゃないわよね?」
「いやいや、それはないはずです」
烏森が笑いながらも、資料をめくる。
「どうやら、アイドルユニットのオーディションを開催するいるらしい。つまり、新たにメンバーを集めて本気で挑むということです。」
その言葉に、古希社長が眉を上げる。
「……面白いじゃねえか」
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◆ 参戦事務所による競争
「残り3枠をどう決めるのですか?」
アプロプロの朝日社長が聞く。
「参戦を表明する事務所が3社以下であれば、言うまでもないが、4社以上の参戦があると3枠を巡る争いになる。参戦表明をする事務所が増えた場合、さらに競争が激しくなる」
「ふむ……となると、4社以上の参戦表明でプレバトルの勃発か・・・。」
AMNUZMの雨野代表が畏まりながらつぶやく。
烏森が頷く。
「いずれにせよ、新規参戦組には、我々5社に所属するユニットに負けないだけのエンターテイメントを見せてもらう必要があります」
会議室には、静かな熱気が漂っていた。
「さて、そろそろ時間です。」
烏森が時計を見ながら言う。
「リーグ発足まであと数ヶ月。どんなユニットが揃うのか……楽しみにしましょう」
そう言って、リーグを発起した5社、『オリジナル5』の代表たちは、それぞれの思惑を胸に、会議室を後にした——。