ep.6 キャラランド主催アイドルユニットオーディション supported by GENSEKI
「……マジか」
スマホの画面をスクロールしながら、ぼくは小さくつぶやいた。
キャラランドの公式サイトに載っている「キャラランド所属男性アイドルユニットオーディションpowered by GENSEKI」の詳細。
LoHi参戦のために開催されるオーディションのルールがびっしり書かれている。
「1次選考……いいねの数?」
画面には、こんなふうに書かれていた。
▼1次選考について
①「キャラランド所属アイドルユニットオーディション会場コミュニティ」内でのいいね数
②SNSファン投票(#キャラランドGENSEKIオーディション)でのいいね数
③審査員会による審査
「……そういう感じなんだ」実力だけじゃなくて、どれだけ注目を集められるかが重要ってことか。
でも、これってつまり——
「見た目とか、話題性があるやつが有利ってこと?」
SNSでのファン投票があるなら、すでに人気のある応募者が圧倒的に有利だ。
歌の実力だけじゃ戦えない。
「……アイドルって、こういう世界なのか」
ぼくは歌を歌いたいだけだった。
でも、LoHiに出るなら、それだけじゃダメなのかもしれない。
ぼくもアイドルを目指す以上、歌うこと以外にやらなくちゃいけないことがたくさんありそうだ・・・。
「で、1次選考の応募締切は3月31日。結果発表は……」
——2025年5月中旬。20人しか選ばれない・・・
それから、6月には20人による最終オーディションがあって、7月には最終合格者7名が決まる。ぼくを合わせると8人のメンバー・・・。
つまり、あと半年もすれば、キャラランドのアイドルユニットのメンバーが決まるってことだ。
「もう、そんなに時間ないんだな……」
ぼくはスマホの画面を見つめながら、ゆっくり息を吐いた。
「アイドルか……」
このオーディションで決まったメンバーと一緒に、アイドルリーグ『LoHi』の舞台に立つ。
まだ実感はわかないけど、でも、ぼくは——
「……ま、いっか。とりあえず、歌うだけだ」
歌うことで、ぼくの道が開けるなら、それでいい。
ぼくはスマホをポケットにしまうと、スタジオへと向かった。