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ep.52 第一章、完走。スタートライン


最終オーディションの熱狂から2週間。


だが、あの場所から始まった物語は、まだ終わっていない。

 


「LoHi参入希望事務所は、6社か」



烏森芸能代表・烏森雅は、報告書に目を落としながらつぶやく。


「つまり、募集の3枠を超えたということですね。6ユニットでの参入バトルが決定ですね。」

横でうなずく秘書の声にも、彼は表情を変えない。


「キャラランドの新ユニットが、どう来るかだな」

ふと頭をよぎるのは、あの場で目を輝かせていた若者たち。


かつて“マスコットキャラクター専門”とされた芸能事務所が、本気でアイドルを生み出そうとしている。


その覚悟、本物かどうか。烏森は静かに見極めようとしていた。

 


「合格……したんだ」



スマホを見つめる藤原真希の手が、わずかに震えていた。



英賀田雪雄くん。



あの日から、ずっと彼を応援してきた。


彼のこれからの活動を、わたしも応援したい。


だけど、オーディションが終わって気づいたことがある――


推している英賀田くんだけでなく、新しく生まれようとするユニットメンバー全員のきらめきにも、心が動かされていたことに。


「“箱推し”って、こういうことなんだね」


嬉しさと、ちょっとだけの寂しさ。


その全部を胸に、彼女もまた、スタートラインに立っていた。

 



「俺も……もう一回、大きなステージ、大観衆の前に立っちゃダメか?」



うさぎのマスコットキャラクターがモニター越しに見るオーディションのアーカイブ。


そこに映っていたのは、まばゆい光に包まれた若者たちの姿と彼らに触発アレテンションが上がる自分。

(うらやましいって、思っちまった)


レポーターとして、MCとして、盛り上げる立場。



だけど――


「俺だって、もう一度、光を浴びたい」


決意のペンダントが、胸元で小さく揺れた。

 


「……やってよかったな」



夜の事務所。


キャラランド代表である稗田椿ひえだつばきは、窓の外の街明かりを見つめながら言った。



全ては、ひとつの“声”から始まった。


翔太くんの歌。


そして、それに動かされた自分の想い。


「私たちは、ここで終わらない。LoHiに出る。絶対に」


新たなプロジェクト、新たな仲間、新たな決意。


すべてが、ここから始まるのだと、強く信じていた。

 


「色々悩んだ末……大学、進学やめました」



真っ直ぐな眼差しで言ったのは、伊藤颯太いとうそうた


「椿社長がくれたチャンス、無駄にしたくない。大学に行かなくてもどこでも学ぶことは続けられます。


僕、キャラランドに就職して、この新しいユニットを全力で支えます」


目指すのは、マネージャーとしての未来。


けれど彼の中にあるのは、誰よりも近くで彼らを応援したいという、純粋な想いだった。



「9人目のメンバーだと思って、がんばります!!」

 


あの日の拍手も、笑顔も、緊張した表情も、すべてが胸に残っている。


キャラランドの新しいアイドルユニット。


彼らの旅は、まだ始まったばかり。



──それぞれが、それぞれの“スタートライン”に立った今。

物語は、次の章へと進んでいく。


 

________________________________________


キャラランド 第一章「CHARALAND RISE!」はこれにて終了です。

第二章は 2025年8月22日 (金)連載開始!

https://ncode.syosetu.com/n4020ky/


これからも、彼らの歩みにご期待ください。


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