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ep.35 いよいよ最終オーディションスタート


オーディション会場のスクリーンが静かに黒から光へと切り替わった瞬間、

場の空気が張りつめた。


キャラランドの控室では、

椿社長がディスプレイ越しの会場の様子を見ながら深く息を吐いた。


「……ついに始まったね。ここからが本当の勝負」


その横で、佐藤翔太は硬く握った拳を膝の上に置いたまま、

画面に映るエントリー者たちの名前をひとりずつ目で追っていた。


彼の隣に座る伊藤颯太は、緊張を隠すように軽く笑った。

「翔太くん、緊張してる? これから共に活動する仲間がこの中から決まるんだね、緊張して当たり前だよ。実は俺もすごく緊張している…」


翔太は一度頷くと、瞳をスクリーンに向けた。


新しいユニットメンバーを決める一か月の戦いが、いま幕を開ける。


――そして、同じ時間、別の場所。

烏森芸能の社長室にある特大のモニター前で、

代表の烏森雅がソファに深々と腰かけ、腕を組みながらその様子を見守っていた。


「ふむ。ここまでは想定内だが……見せてもらおうか椿さんいや、キャラランドの若き社長さんの手腕とやらを」


その横で、人気ユニットSYKGODスカイゴッドのメンバーでり新しいユニットメンバーとしてLoHiへの参加が決まっている道原真みちはら まことが、烏森社長の向いに腰掛けスクリーンを見つめていた。


彼の表情はいつになく静かで、真剣だった。

「他人の夢を蹴落とすような場所じゃない。けど、本気で夢を掴むなら――120%の力をだして本気で獲りにいくしかない」


烏森は短く笑って言う。

「さすが、看板アイドルらしい発言だな。真」


烏森の声に、道原は微笑を返した。


――画面が切り替わり、最終オーディション出場者20名のシルエットと名前が浮かび上がる。


一方、オーディエンスとしてその瞬間を見届けていた藤原真希は、

スマートフォンを手に言葉にならない想いを抱えていた。


(この中に、あの子がいる。私の“推し”が――)


真希の指が無意識にディスプレイをなぞる。

選ばれた20人。その中で、7人だけがデビューできる。

この投票が、運命を決める。

この一票が、未来を拓く。

「……やっぱり応援してきてよかった」

彼女の小さなつぶやきは、画面越しのアイドルたちに届かない。

でも、その想いが届く場所があると、真希は信じている。


最終オーディション、開幕。



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