ep.33 キャラランドギルド567の誓い
キャラランドギルド567――
それは、キャラランド所属男性アイドルユニットオーディションに応募した567名限定の応募者コミュニティの名で、5月27日時点で集まったのは111人。
その中には、選ばれたメンバーもいれば、惜しくもその枠に届かなかったメンバーもいる。
5月22日の20時、ギルドコミュニティに届いた一通の通知は、誰かを責めるためのものでも、寂しさを紛らわすためでもなかった。
「今夜、キャラランドギルド567メンバーで、話せる人だけでも集まらない?
最終オーディションに進む人も、そうじゃない人も。」
最初に書き込んだのは、非進出メンバーの一人・響谷燈牙だった。
その一言から、小さな輪が広がっていく。
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ギルドコミュニティ内のボイスルームには、参加者のアイコンと一緒に、それぞれの「想い」が並んでいた。
「……結構集まっているな」
龍胆尭人が、控えめにカメラをONにした。
最終オーディション進出者の一人として、言葉を選びながら挨拶する。
「……ありがとう。来てくれて。俺は……正直、まだ実感がない。でも、今日だけは、ギルドの一人として、ちゃんと話したいと思った」
尭人の言葉に、小さな拍手スタンプが続く。
「ぼく、誰かに勝ったとか、そんな気持ちじゃなくて……。進めなかった人の分までって言葉、ずっと軽いと思ってた。でも、今はちょっとだけ、その意味が分かる気がする」
日暮 尊も続く。 静かで落ち着いた声だった。
「ぼく自身、ギルドで過ごした時間がなかったら、こんなふうに今を迎えられてなかったと思うんです」
桧山 葉がそっと口を開いた。
沈黙。
そんな空気の中、
「進めた君たちに、期待してるよ。ぼくたちの想いを、胸に抱いて行ってほしい。……でもそれは、重荷にしてほしいって意味じゃない。君たちの後押しになると信じてるから」
柳楽 茜が静かに、ただ確信を持って言う。
誰もが、その言葉を素直に受け取れた。
飛鳥間 隼が自分に言うようにつぶやく。
「ギルド567は、審査の結果は関係ない、みんな同じだ」
稲波 力哉が、画面越しに笑った。
「観てるよ。誰が進んでも応援できる。ギルド567メンバーだから」
「We are good friends」
Daz・Garciaがほほ笑む。
続けて、カメラ越しにピースサインを送るのは、宍倉 藍琉。
「ギルド567メンバーで過ごしたこの数週間、俺にとっては宝物だよ。これからも、なんかやろうよ」
そう、これは終わりじゃない。
誰がデビューしても、 ギルド567という旗のもとで生まれた誓いが、いま、新しい未来を描こうとしている。
「背中、見ててくれ」
「次は並んでステージに立とう」
「応援、任せろ!」
「ギルド567、忘れられるわけがないだろ」
「ギルドメンバーもっともっと増やそうぜ!」
静かな画面の向こうで、無数のアイコンが光っていた。
この場所に確かに存在した時間と、交わされた言葉たちが、彼らをまた次の物語へと導いていく。
それが、現時点で111人の『キャラランドギルド567の誓い』。




