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ep.31 届け、推しへの想い──応援デジタルコンテンツ販売って?

キャラランドの打ち合わせ室。

午後の柔らかな光がカーテン越しに差し込む中、会議テーブルにはおなじみのメンバーが集まっていた。


椿社長がタブレットを開きながら、まっすぐ前を見て言う。

「今日の議題は、応援デジタルコンテンツ販売の詳細説明。オーディエンスの“応援したい気持ち”を、ちゃんと届けるための仕組みとして、最終オーディション期間に導入します!!」


「つまり少し形の違う“チップ”ってことですか?」

若手スタッフの猫沢が、メモアプリを開きながら確認する。


「うん、でも投票とは完全に切り分ける。あくまで“純粋な応援”としての仕組みと考えています。選考には影響しません!!」

椿社長は穏やかに首を縦に振った。


「その代わり──」と、岡マネージャーが言葉を継ぐ。

「デジタルコンテンツ販売と言っても応援の気持ちも含んで購入していただきます。購入してくださった方のニックネームは、後日“Special Thanks”としてクレジットにお名前を掲載する予定です。単なるデジタルコンテンツを購入するだけでなく、このユニット結成されるオーディションの時から応援してくれているという証特別な意味を持つ販売にします」


「しかも、販売金額の一部は、応募者に直接還元される」

雨野チーフが慎重に確認する。


「はい。金額に応じて一定の割合で。オーディション期間中の活動資金に充ててもらえたらと思っています」


椿社長の言葉に、転生猫太Pがにゃふっと声をあげる。

「つまりにゃ~、推しに体にも心にも効く“元気ドリンク”を送れるってことだにゃ! 」


「上手いこと言いますね!!猫太さん」

猫沢が笑いながら言うと、テーブルの雰囲気が少しやわらぐ。


「ふふ…応援してくれた人のニックネームが並ぶページを、きっとキャラたちは何度も見ると思うんです」

椿社長は、ふと遠くを見つめるように言った。


「最後の7人に選ばれる選ばれない、どちらのどのような結果でも、誰かに応援されていたってことが、ちゃんと届くようにしたかったんです。

名前が並ぶその一行一行が、彼らの記憶に、背中に、ずっと残っていくように」


部屋が静かになる。

誰もが、画面の向こうで最終オーディション参加者20名たちを応援する“誰か”の存在を思い浮かべていた。


「──この取り組み、誰かの応援が、きっと応募者の未来を変える」

椿社長の言葉に、スタッフたちは頷いた。


そこに映るのは、まだ見ぬステージの光。

そして、それを照らすたくさんの“名前”だった。

いよいよ、最終オーディション参加者20名の発表まであと2日。

キャラランドスタッフ、そして椿社長は、応募してくれた567名の原石たちの未来が輝くものとなるよう、今日も懸命に奔走している。

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