ep.3 設立決定!アイドルリーグ『LoHi』
ぼく(佐藤翔太)は歌うことが好きだ。理由なんて特にない。ただ歌うのが楽しくて、気づいたら歌ってる。
でも、歌が好きだからって、それだけでアーディストになれるわけじゃない。
そんなぼくに、ある日、チャンスが転がり込んできた。
「アイドルユニットのオーディション、やるわよ!」
キャラランドの社長・稗田椿さんがそう宣言したとき、正直ピンとこなかった。
うちって、マスコットキャラクターの事務所だよね? アイドルユニットって、そういうのと別世界の話じゃないのかな?
でも、椿さんは真剣だった。
「LoHiって知ってる?」
その名前を聞いたのは、そのときが初めてだった。
正式名称は「リーグ・オブ・ハイパーディメンショナル・アイドル」
簡単に言うと、アイドルユニットのリーグ戦。
芸能事務所がアイドルユニットを送り出して、パフォーマンスを競い合う。
歌もダンスもビジュアルも、ファンの応援も含めて、すべてをひっくるめた"総合力"で戦うリーグ。
参加が決まっている事務所は大手事務所ばかり。トップクラスのアイドルユニットが集まるらしい。
「そんなステージに、キャラランドが?」
思わず口にすると、椿さんは迷いなくうなずいた。
「もちろん。翔太くんも、アイドルユニットに加わり、そのステージで歌うの!!」
ぼくはただ歌が好きなだけ。
歌えるステージがあるならどんなところでも構わない。
でも……ふと思った。
ぼくの歌が、アイドルユニットに参加することでもっとたくさんの人に届いたら?
ぼくの歌声が、誰かの心を動かせたら?
「……ぼく、たくさんの人の前で歌えるなら、アイドルユニットでも何でも参加します!」
それを聞くと、椿さんは微笑んだ。
「大丈夫!。だって、翔太くんの歌には"可能性"があるもの」
可能性??そんなこと、考えたこともなかった。
でも、この世界で生きていくなら、その可能性を信じるしかない。
LoHiは、ただのアイドルユニットのリーグ戦じゃない。
ーぼくがたくさんの人の前で歌を歌える場所なんだ。いよいよ、来週からキャラランド主催アイドルユニットオーディションが、GENSEKIでスタートする!