ep.2 オーディション開催に向けて
キャラランドの小さな会議室に、スタッフたちが集まっていた。
「オーディション、開催します!」
椿が力強く宣言すると、チーフマネージャーの雨野武が腕を組んでうなずいた。
「まあ、そうなるとは思ってたけどな。本当にやるんだな?」
「もちろんです! LoHiに参戦するためには、うちに足りないものを補わなきゃいけない。新しいアイドルユニットを結成します!」
猿田宮彦がメガネを押し上げ、慎重に言葉を選んだ。
「オーディションを開くのはいいとして、どうやって応募者を集めるつもりです? 正直、今のキャラランドにどれだけの影響力があるのか……」
「そこは、SNSを活用しようと思います!キャラランドの歴史や、翔太くんのこと、私たちの本気を伝えれば、きっと響く人がいるはずです!!」
「……なるほど。確かに今の時代、SNSの力は侮れないですね。しかし、SNSを活用するのもそう簡単なことではありません…。我々の真価が問われますね。」
「オーディションの内容は?」マネージャーの岡 歩がノートを取り出しながら尋ねた。
「歌唱・ダンス・演技、どれか一つでも光るものがあればOKです!最終的に翔太くんも参加したユニットを作ります!!」
一同が静かにうなずく。
「……よし、やってみよう。キャラランドの未来を変えるために!」
会議が終わった後、椿は翔太を事務所の一角に呼び出した。
「翔太くん、ちょっと話があるの」
「はい?」
「今度、キャラランドでアイドルユニットオーディションを開催するわ。新しいユニットを作って、LoHiに出場するために!?」
翔太の目がわずかに揺れた。
「……僕も、そのユニットに・・・?」
「もちろん!。新しいユニットがあなたの輝く場所になる!!」
翔太は拳をぎゅっと握りしめた。
「椿社長……僕、本当にやれるんでしょうか? 今までは練習生だったし、正直、自信なんて……」
「翔太くん、あなたの歌を聴いたとき、私、あなたの中に、あなたしか持っていない輝きを見出したの。きっと同じように輝きを見る人はいるはず!!」
「……僕、やります。やりたいです!」
「決まりね! 一緒に頑張りましょう!!」
翔太の決意を確かめた椿は、静かに微笑んだ。
翌日、キャラランドの公式SNSが更新された。
【速報】キャラランド、男性アイドルユニットオーディション開催決定!
「LoHi」参戦に向け、新たな才能を募集します!
詳細は近日公開!
投稿には「キャラランドがアイドルユニット事業!?」と驚くコメントが付き、業界内でも密かに話題となっていた。
「……反応、上々だな。」
雨野がスマホを見ながら呟いた。
「これからが勝負です。絶対にオーディションを成功させましょう!」
こうして、キャラランドの挑戦が本格的に動き出した。