ep.13 ライバル出現!?
1回目の途中結果発表をした後も、GENSEKIの応募フォームには予想を上回る応募が届いていた。
歌やダンス経験者、アイドル志望の若者たち。
中には全くの未経験ながら、強い意志を持って応募してくる者もいた。
「……すごい、たんさんの応募が来ています!」
モニターに並ぶエントリーシートを見て、椿は思わず声を上げた。
「現在のエントリー数、120名を突破しました!」
マネージャーの岡が報告する。
「こんなたにたくさんの有望な応募者が集まるとは・・・。これは想定以上に期待できるな。」
雨野が腕を組んでうなずいた。
「でも、また応募の段階です。実際オーディションをしてみないと、どんな子たちかはわからないですよ!」
猫太Pが冷静に指摘した。
「ここからです! 応募者の子たちには、オーディエンス審査だけでなく、審査員会による審査も受けてもらいます!!」と椿は声を上げた。
スタッフたちは頷き、これから始まる審査の準備に取り掛かった。
だが、その裏で、業界の動きも変わりつつあった。
【ライバル出現??】
キャラランドのオーディションが業界内でも話題になり始めると、他事務所の動きも活発になった。
特に、キャラランドと同じように、オリジナル5の既に出場が決まっている5枠を除いた、LoHiの初年度残り3枠での出場を目指す芸能事務所の水面下での動きが日に日に増した。
「江ノ島プロモーション」の会議室。
幹部たちが、キャラランドの動向を探っていた。
江ノ島プロモーションは、演芸・スポーツイベント(主にプロレス)などの興行を行っていることから、ベテランの芸人が多数在籍し、芸人からスポーツ選手、アーティスト、アイドルまで幅広いジャンルをマネジメントしている老舗の芸能事務所である。
「このまま見過ごしていいんですか?」
比較的若手の幹部の一人が、不安げに声を上げる。
「放っておけ。所詮は小さなマスコットキャラクターの芸能事務所の悪あがきだ」
年配の幹部の一人が鼻で笑う。
しかし、社長席に座る男――神代 悠馬は、静かに指を組みながら目を細めた。
「キャラランドは確かに小さな事務所だ。しかし、亡き先代稗田社長の一人娘の椿という若い社長……なかなか侮れないかもしれないな」
「まさか、ライバルになると?」
「それはない。ただし、LoHiという新しい舞台では、話題性が力になる。予想以上にキャラランドのオーディションが盛り上がっている。油断するな」
神代の言葉に、幹部たちは静かに息を飲んだ。




