第5話「その蛮狸、超能力者のマブダチと夜景を見上げず」
「勝手に店を休んで帰省かしら? バカンスばかりで優雅ね? アンタは」
萌香のすぐ背後からスッとソラが現れる。
店に置き残した赤いネクタイをつけて来ているようだ。
「ソラたん!? いつの間に!? 全然気がつかなかった!!」
「気づいたら行くのをやめていたの?」
「それは……」
「このネクタイを置いていったら休職届になるとでも?」
「そうは思ってないけど……」
「どうせ人の言う事なんか聞かないんだから。それで? 地元に帰って何をするっていうのよ?」
「べ、べつにいいじゃん! ほっといてよ!」
「ここまで来たらほっとけないわよ。それに何よ。私の地元にいって派手にやることやっておいてさ、自分の地元のことは関わるなって言うの?」
「あ、暴れる気……?」
「用件によるわ。売られた喧嘩なら買ってやるし、喧嘩を売りにいくなら派手に売ってやるし」
「暴れる気満々じゃん……はぁ……私がただパパに会いに帰省するってだけならどうするのよ?」
「その時はご挨拶させて貰うわ。店でよく働いてくれていますって」
「そう……まぁ……それならついて来て貰ってもいいか」
「え? いいの? っていうかそれが目的?」
「いま、地元愛媛がヘンテコなことになっているのは知っているよね? なんかカジノをつくるって話になっていてさ。ドンドン人がいなくなっているっていうのにね。今の中谷って県知事はそもそも人間じゃない。ママともつるんでいた悪い狐でさ」
「ん? チョット凄い事を話していない?」
「だから私はパパの身に何かあるかもって心配になっただけなの!」
「色々整理しないといけないけど、萌香のお母さんは悪いタヌキだったの?」
「悪いと言うか……パパの考え方と違う考え方で。パパと喧嘩しちゃってパパが殺しちゃったの」
「それ……お父さんの方が悪くない? 私の父も決してイイ男ではなかったようだけどさ」
「いや、でも、四国にいる普通の人や狸を殺してやろうって考えていたのはママたちのほうだよ? これしきはパパのほうが間違ってないと思う」
なんか話の内容が血生臭い。
ソラは顎に手を当てて記憶を掘り返す。だいぶまえに幕田という蛮狸から萌香たちのことを聞いた。春醒という組織があったこと。その組織と自身が所属していたCEAの舛添が絡んでいたこと。さらに言えば、そのCEAでついこないだ五十嵐たちの反乱があったということ。
「陽が沈んだね。厄介だなって思うぐらいなら来なくていいよ。私がいない間の給料はなくてもいい。私もみんなを巻きこみたくないから。だからそのネクタイは残していったのに」
「残念だけど私は引かないわ。アメリカで恩を買ったみたいだし、それにね……萌香のことをもっと知りたいって迷惑ながら思っちゃっているから」
「はん。にくいことを言うねぇ。そこまで言うなら追い払わないよ」
萌香はそう言ってフェリー船内に入ってゆく。
「ここで星空を眺めながら語り合うのも格別だと思うんだけどなぁ」
ソラはそう言って夜空に変わった空を見あげる。
「ロマンチストだね! さすが僕のマイハニー!」
後ろから声が。どうやらそこに不自然にある段ボールから。
「テメェがついてきてんじゃねぇよ!!!」
「グボベハァッ!?」
ソラはその妙な段ボールにドロップキックを見舞う。
すると虫かごを持ったCEAメンバー高津玲が飛び出す。
同時に虫かご内にいた盛りだくさんのゴキブリが放出された。
「酷いことをするじゃないか……」
「何しようとしていたのよ!? アンタ!?」
「どんな花束よりも素敵な蟲たちをあげようと思って……逃げちゃった」
「いらねぇわ!!! そんなモン!!! 帰れ!!!」
萌香の里帰りは意図せずして様々なものを巻きこむ――
CEA高津玲くん(古本都紙魚くん)も同行します(笑)(笑)(笑)
四国愛媛に色んなヤツらが集結します。次号(#^.^#)m9ドーン!!!!




