第4話「二酸化炭素は必要すぎる事も不必要すぎる事もなくただそこにある」
稲垣と藤岡の魔女2人は店主の桐生に案内されるままにカウンター席に座る。
「お茶メインの喫茶店というのも珍しいね」
稲垣は気さくに桐生へ話しかける。同世代の魔女であることは事前に把握済み。
「MUGENっていう店名もイケますよねぇ?」
「あぁ~このノリの悪い付添人は無視して」
「そんな言いかたないでしょうが! アンタ!」
藤岡が重ねて声をかけてきたが、稲垣からしてみれば余計な邪魔だったらしい。
「ふふふ! あっはっは!」
桐生は口に手を添えて笑ってくれた。
ウケた?
なんかよく分からないけども藤岡はニンマリとしてみせた。
「このお茶は何かのブレンド茶かな? 新しい風味を感じるよ!」
「普段はお酒しか飲まないクセに。新しい風味って何よ? おい」
「もう一度言うけど、このノリの悪い人は二酸化炭素みたいな空気だから二酸化炭素みたく意識しないで」
「喩え方! 二酸化炭素なんか誰も意識しないわ!」
あれほど大笑いしていた桐生の顔が急に真顔になっている。
ウケなかったのか?
「誰から聞いたのかしら?」
いや、これは藤岡の想像してない反応だ。答えは稲垣がすぐに示す。
「二酸化炭素っていうのは私たちの生活に欠かせないものだけど、それが溢れるところ。特にこういう締めきった空間だと異常な圧を与える。私たちをやろうとしているのであれば、これほど分かりやすい落とし穴はないね」
「ど、ど、ど、どういうこと!?」
すぐに藤岡は席を立ち店の玄関口へ。そこは完全に締め切っておられた。
その事実を目の当たりにした瞬間に異様な倦怠感と耳鳴り、息苦しさと頭痛が藤岡を襲う。振り向くとそこにいるのは顎に剣先を突きつけられた稲垣。
そのときには大波のような眠気が彼女を圧倒させてしまった。
「…………私たちを殺そうって言うならただの戦争で終わらないよ?」
「そんなマネはしない。ただ忠告をしているだけ」
「忠告? 何か私たちがやっているの?」
「事情を知らない者が四国に入ってくるな。貴女たちの知らないところで戦争を防ごうと戦う魔女がここにいるの」
「何ソレ? 小池さんが正義のヒーローとでも?」
「真実を知るには四国で骨をうずめる覚悟がないとタダで済まない。大魔女様にもそう伝えなさい」
「言っておくけどさ、範ちゃんも私も本気になればこんな結界を壊すことなんて簡単にできる。危ないトリガーを引いているのはそっちの方だぞ? この意味が何か分かっている?」
両目を黄色に光らす稲垣。しかし瞳を緑に光らす桐生はその光をすさまじくも発光させて膨大なオーロラ空間を喫茶店内につくった。
「これは!?」
「あら、全国屈指の大魔女様の家来でも驚いてしまうのね」
「本気か……こっちは事実だけ聞きに来たって言うのに!」
「それが駄目だと忠告しているの。大魔女様にも伝えなさい。貴女たちが全国で徒党を組んで四国に来ても私たちには敵わないと。ええ。当然よ。本気でなきゃ四国末廻組副長は務まらない。やるっていうならタダの怪我で済ませないわよ?」
「わかった。このお茶を飲ませてくれるか? 本当の本当に美味しいから」
稲垣がそう言うとこの空間は古風な喫茶店を取り戻す。
「嬉しい!! 大魔女様にもご来店お待ちしておりますと伝えて下さいね!」
彼女はニコニコした喫茶店店主に戻っていた。さっきまでその手に持っていた刀はいつの間にか黒いお盆になっている。
「あれ? 私ってばここで倒れていた?」
「ええ。稲垣副会長とここで漫才を披露されたのですが、何だかやろうとされたネタを忘れられたらしく。テンパって倒れたみたいです。凄く面白かったですよ」
「えぇ!? マジで!? 恥ずかしいのだけど!?」
稲垣は「コレ、美味しかったから。おかわり頼める?」と静かに桐生へお願いする。それから2杯目のお茶を飲んで店をあとに――
「はい。探りにこられたようです」
『あら、私かてエリートの中のエリート。変な真似はしていないのになぁ』
「小池局長。そのエリートの中のエリートっていう口癖をやめた方がいいですよ? あまり強い言葉を使わないで。弱く見えます」
『あなたは今日も辛辣ね。でも、追っ払ったことには感謝しますわ。未廻組には末廻組の流儀がある。私たちのエリート街道を邁進しましょう』
稲垣たちが店を出て間もなく。桐生のスマホに小池からの電話が掛かる。
稲垣たちはその日の夕方のフェリーに乗船。
「稲垣様、私たちって本当に桐生副長のまえで漫才をやったのですか?」
「うん。なんか気づいたらそんなことをさせられていたよ」
「えぇ!? 何でまた!?」
「そういう魔法をかけられたのかもねぇ。でも、範ちゃん。これはもう私たちが関わるべきヤマでなくなっているのかもしれない」
「えっ!? どういうことですか!?」
「ううん、何でもない。でも、あそこまで褒められたらやるしかないね」
「えっ!? でも、さっきコレはもう関わるべきヤマじゃないって……」
「今から漫才をやろう。なんかそれなら上手くいくような気がするのよ」
「ちょっと!? 展開が急なのですけど!?」
「どうもー!! ズンショーです!!」
稲垣の思いつきで2人はデッキをステージに漫才を急に始める。
するとどういうワケなのか乗客が次から次へと漫才を観にやってくる。
稲垣たちにとって収穫のある四国偵察にはなったみたいだ――
ちょうどその時を同じくして広島から愛媛のフェリーに乗る女子が。
いや、化け狸の蛮狸。
「フェリーから眺める夕暮れは絶景だね♪」
「そうね♪」
「えっ!?」
林萌香のふるさと帰り。そこに彼女がお供することになる――
サブタイの意味が僕にもよく分かりません(笑)
末廻組副長つえー!の話でした(#^.^#)見た目がレゼみたいな感じなのよね(#^.^#)
ちなみに書かなかったですが、このドラマの最後ではファンサービスで稲垣&藤岡役をやった瑞祥が本当にフェリー船デッキのうえで漫才を披露するってくだりがあります。あんまりそこを書くと物語から逸脱しちゃうからね。あと瑞祥の漫才を書かれるなら城河ゆう様しかいないものね(#^.^#)
萌香といっしょに愛媛を訪れるのは!?次号(#^.^#)m9ドーン!!!!




