PROLOGUE:四国四天王決戦
私がこのヘンテコな喫茶店で働くようになって1年半年か。
「いらっしゃいませ!」
「こちらへどうぞ~!」
「イタッ! 何すんだよ!! 髭モジャリン!!」
「お前も働くよい! スマホばかり弄るなよい!」
ドロップアウトというこの店は広島の横川にある喫茶店。私が入職したときのこの店はぼったくりカフェみたいな店で通う客もガラが悪く怪しい野郎共だけでもはや喫茶店っていう喫茶店なんかじゃなかった。だけどひょんな事で店員仲間であるソラの地元アメリカへ。そこで私たちは悪党退治に成功。御礼にどっかの州知事さんから店の宣伝をして貰えた。
じつは渡米前から商売繁盛していたけど、今はアメリカをはじめ世界各国から広島観光のついでにやってくるお客さんたちも増えた。ソラから店長の証である赤ネクタイを授かり、この状況に浮かれたいものの、どうにも浮かれない事情がこの私にはあった――
「お前なぁ。このプロローグのナレーションの際に事実と違うことを話すことをやめろい。ソラは店長でもなかったし、赤ネクタイが店長の証でもないよい」
「うるせぇ。それよりこっちは大変なんだ」
「何が大変だい。さっきからスマホみているだけだい」
「愛媛にカジノをつくるって中谷のババァが言ったらしくて」
「ああ、ニュースになっていたよい。また変なことを考える知事さんだい」
「ね。人なんてそんなにいない町だし。でも、それが良い町でもあるのに」
「狸のお前らからしてみれば本当に迷惑な話だろうよい」
「そうとも限らない。私ら蛮狸が裏で手を引いているのかも」
「何だい? そいつは確証がある話なのかい?」
「コイツは狐だよ。でも私らが雇った狐だって聞いていたの」
「そうかい……それで事が事なら地元に帰るのかい?」
「それを一生懸命検索してみているの!」
「今はネット記事をみる時間じゃねぇよい!! 働けぃ!!」
「うるせぇ!! 地元が大変になるかもしれねぇんだ!!!」
髭モジャリンがクソ熱いフライパンで私の頭を叩いてきたので天井を突き破るぐらいのアッパーをくらわしてやった。
「……萌香、気持ちは分かるけど、今のは店長が悪いと思わないわ」
「ソラたん」
「いや、地元が大変で複雑な気持ちになるのは分かるわよ。私だって萌香たちが米国に行ってくれて色々面倒な事をやってくれて感謝してる。そのお蔭でこんなにも店が繁盛するようになってさ」
「ソラたん……ごめん」
「いいって。でも、だから仕事しないって言うのは違うわ。どうしてもって言うならば、長期休暇ぐらいあげてもいいわよ?」
「うん……そうしたいかも……」
「じゃあ条件つけていい?」
「条件?」
「あの天井にぶら下がっている店長を引きずりおろして。あと天井の修理代だす為に来月の給料1か月分をナシね」
「えぇ~それはないよ!」
「じゃあ、手伝ってくれる? ほら、お客さん入って来たわ! 今は満席だから店前で待って貰うように言って! ほら! 早く!」
そういやぁ~この店ってだいぶ普通の人間がお客さんとして入ってくるようになってきたと思うんだけども、私が最高にぶっ飛んだアッパーを髭モジャリンにしたっていうのにお客さんたちは何事もなかったように喫茶店を楽しんでいる。
もしかして普通にみえて普通じゃない人たちなのかな?
まぁいっか。
そうだったとしてもいいよね。
私たちも私たちの生きている世界も普通じゃないのが普通なんだし。
いやぁ~お久しぶりです(*´ω`*)
新年1発目の投稿がDROPOUTなのいいですね。
萌香の地元のおはなし。書いてゆきます。




