第6話「警察官は魔女」
大きなビルが立ち並ぶ横川の街。
彼女達警察はその男達がその喫茶店から出てくるのを待っていた。
「この位置から打ちこめば確実」
「しっかり狙いなさい。標的はこの店に通い詰めているのは確か」
高層ビルの屋上。凡人なら入れないこのエリアに彼女達は入る事ができた。
それは彼女達が警察であり、そして――
「では。発射します。3,2,1」
ドォン!!!
「って! おおいっ! どこ狙っているのっ!?」
「チッ、せっかくの零距離射程だったのに」
上司の女警官は鷹山優。この横川のエリアを任された警部補にして正体は魔女。
「まぁ。また狙うチャンスはあるか」
「いや、ねぇよ! ていうか標的が私なのって全然違うわ! そのバズーカは何なのよ!? 普通の警察官が持っているモノじゃないでしょ!?」
後輩の警官は山崎生吹。巡査部長にして彼女の正体も魔女。
「あっ、じゃあそろそろ『科捜研のおばちゃん』の再放送がはじまるので、私は一旦うちに帰ります」
「おぅい!? 上司をバズーカで狙っておいて反省もなしに勝手に帰宅できるかぁ!? あぁ!? 電話!? あぁ!? 見失った!?」
鷹山と山崎は警察の傍らで日本中の魔女たちによる秘密組織、全日本魔女機構の傘下である「魔女神泉組」の幹部メンバーでもある。彼女たちは神泉組がかねてから只者でないと睨んでいるヤクザの五味・岩鳥という男をつけていた。
今日は魔術による軽い狙撃を試みたが、山崎の暴走で実行するに及ばなかった。
「もしもし、こちら広島県警横川支部の鷹山です。ご用件は何ですか?」
『もしもし、あの妹とペットの狸を見失って。喫茶店にいるのですけど』
「あぁ~個人的なトラブルか何か? そういうのはひとまずオタクで何とかして」
『ドロップアウトって喫茶店なのですけど』
「ん?」
『あ、いや、だからすいません。ドロップアウトっていう喫茶店です。だけど、こういうのってそうか、警察は相談に応じてくれないのですね……』
「いや、そうね。たまたま私がその喫茶店の近くにいるからね。そこへ向かうことはできなくないわ。詳しく聞かせて貰えますか?」
『はい、妹が拳銃でヤクザに脅されていたみたいで。たまたま僕が店に入ったら、その場面に遭遇して』
山崎の暴走による任務失敗を取り戻せる。
そう確信した彼女は特殊粒子を集めて箒を手元に。そのままその箒にのって、ドロップアウトへゆっくり降下した。
『うぇえぇえぇ!?』
電話越しに電話をかけてきた青年の声が聴こえる。
海斗はいてもたってもいられずにドロップアウトの外にでてきていた。
そこで箒にのる優を目にしたのだ。
「電話の警察官さんですか? 今、箒に乗っていなかった?」
「あぁ~気のせい。気のせい。それより妹さんがヤクザに襲われたって?」
「そうか、今はそっちが大事か。はい。そうです。この店に入った途端にそんな光景と出くわして」
「一緒に喫茶店の中にいた訳じゃなくて? まぁ~ややこしい話になりそうだし、店のなかで話さない?」
鷹山が喫茶店の中に入ると、リクライニングチェアで週刊少年誌ジャンポを顔にあてながら鼾をかいて寝ている男を目にした。ヤクザが通うだけの店だけはある。あまり風紀の良い店でなさそうだ。コーヒーの一杯も頼めそうにない。
「それで? 君と妹さんは何故この店に?」
椅子に腰かけた優は顎に手を当てて話を伺う事にした――
(どこに逃げたの……店の口コミで余計な事が書かれないといいのだけど……)
ソラはドロップアウト周辺を隈なく探しまわった。超能力を発動すれば彼女の持つ余波を感じとって探しやすくはなるのだが……
いかんせん目が目立つように赤く光ってしまうので、そういう手も使えない。彼女は普通の人間として萌香を探し回るしかなかった――
∀・)読了ありがとうございます♪♪♪
∀・;)いやぁ~月曜日に更新できずで心配させた皆さんごめんなさい。
∀・)「銀魂」を摂取して本作の最初のプロットを考えなおしたりしていました。最初の1話~10話って長編においてはすごく大事なんですよね。という事で来週から月曜21時~よろしくです!