第3話「I can do it right now」
年が明けて1週間。ドロップアウトは一時閉店することになった。
「間違いないにゃ。ここの看板にそうあるにゃん」
神泉組の未来屋たまが店舗まえにやってきて電話で報告をする。
「そうか。たま、ご苦労。そのまま店に戻っておいで」
電話の向こうはフラワーショップ、花園ちはや内にある大広間。
千速香澄。そしてその近くに副長の鷹山優と1番隊隊長の山崎生吹がいる。
「悠月が言ったようにアメリカで店長の男が攫われたようで」
「ああ。そのようだね。アタシは生理的に無理で眼中にないが、あの不死鳥だと思われる男な。そういやぁ優ちゃんはあの店にいってないようじゃないか?」
「局長、このババァは最近ストーカに悩まされているのですよ」
「何? 優ちゃんも遂に恋に目覚めたのか?」
「山崎、言葉に気をつけろよ。あとバズーカをとりだすな。私に向けるな。でも私が目覚めた訳じゃないですが、そうです。あの店にこのたび入店した新入職員の男が妙に私についてまわっているようで。その男も攫われたのですね」
「残念ですね。副長」
「残念じゃねぇよ。このままいなくなって欲しいと思っているぐらいだよ。あ、そういや香澄さんは萌香のストーキングをやめたのですか?」
「それな。読者のみんなも気になっていただろうから敢えて話すぞ」
ゴクリ。
それは大晦日の夜。萌香の家のこたつに家族同然の形で千速は入っていた。
「おかえり。こんな日だっていうのに帰りが遅いじゃないか。マイハニー」
バシコンッ!!!
千速は萌香のアッパーをくらって天井に昇天させられた。
「こんな時にやってくるなぁ!! このストーカーババァ!! 最近やたら私につきまとってきて!! 何が目的よ!?」
「まぁ……まぁ……話をしようじゃないか。アタシが君につきまとうのはたった1つしかないだろう?」
「何よ? 私が同性愛者だからってチャンスでも見出したの!? 私はもふもふ王国の神埼ちゃん一筋だって言っているだろうが!!」
「違う。アタシは昨日と一昨日で四国の君の故郷も訪ねた。でも、いなかった」
「いなかった?」
「君のお兄ちゃんだ。アタシは彼に惚れて仕方なかったが、君の父ちゃんに聴取しても『知らない』の一点ばりで」
「お兄ちゃん? 何それ? 私は独りっ子なのだけど?」
萌香のなかで林海斗という兄がいなくなっていた。
しかし千速の心のなかにはずっと残り続けている……
「だってすごく好みだったもの!」
「でも、いなくなったのでしょ。これを機に私と結婚しましょう。局長」
「なるほど。だからこの作品がカオスだぞって皆から言われるのか。いや、香澄さんが急に同性愛に目覚めたってくだりで薄々可笑しいとは思っていたけども」
鷹山はあのときに海斗が自身の魔法攻撃を払って敵将を庇った光景を思い出す。
でも、何故だろう。ここでそれを話そうとはしなかった。
萌香をはじめとして彼の関係者という関係者が彼のことを忘れてしまっている。
ただ千速は覚えているのだ。
「副長。どうしたのですか。顎に手を当ててキメポーズなんかして」
「キメポーズじゃねぇよ。馬鹿。局長、このたびの件で萌香もアメリカにいこうって話になっているのです?」
「アタシは嫌われているからなぁ。でも、杏奈曰くそうなるようだ」
「この件、悠月一人に任せるのですか?」
「優ちゃんは英語を話せるのか?」
「いや、苦手科目でした。局長は?」
「アタシは体育以外の全てが苦手科目だ」
『Well,Now,I can do it right now』
千速と鷹山の熱視線が山崎に注がれた――
読了ありがとうございます♪♪♪
海斗のくだりは何気に重要ですね。本章とまた関係ない話になるのだけど。しかして神泉組に思わぬ救世主現るです(笑)次号(・∀・)m9ドン!!!




