第1話「Guys,be careful」
広島の横川に構えるカフェ「ドロップアウト」はアメリカのほうにあるカフェ「ドロップアウト」に店のコンセプトを盗用したとして訴訟をおこされた。
「いや、コレって国をまたいで訴えたりできるものなの?」
「いや、聞いたことがないです。そもそもアメリカのお店に通う客がここの店に奪われるなんてこともないでしょうから……」
ソラは賢太郎と正月早々に発生した訴訟の書簡を眺めて話し合う。
そこには店の写真も掲載してあった。
「う~ん、似ていると言えば似ているのかな?」
「言うほど似てない気がしますけど……」
ソラは顎に手を当てて考えこむ。スマホなんかで色んなアプリのダウンロードとかしていれば架空請求の罠に引っ掛かることはざらにある話だ。それが海外を媒体としているものであれば尚更に怪しい。この書簡が届いた時に大地はクシャクシャにしてゴミ箱にコレを捨てた。
「相手にしないことが1番なのかな」
「でも、詐欺にしては手が込んでいるというか……妙ですね」
「というかアンタ、英文とか読めちゃうの?」
「え? はい。何となく読めますし喋れます」
「何となくで!? そういう勉強していたとかじゃなくて!?」
「はい。何となくのフィーリングですね。てへへ」
「アンタ、何者だよ?」
結局は詐欺まがいのものだとしてアメリカから送られてきたものを無視する
事にした。
しかし一週間後に同様の書簡が届く。今度は日本語の和訳付で。
さらにその内容も本格的なものになっていた。アメリカでチェーン店として展開するそのカフェはきちんと商標登録もして、そのブランドで収益もだしていると言うのだ。さらに萌香達はドロップアウトのホームページも持っているのだが、それがアメリカのほうのドロップアウトの活動に酷く迷惑になっているとして、ただちに店名やロゴなどを変えるようにと記されてもいた。
「迷惑な話だね。どうするよ?」
「ジョージアさまに報告しましょうか?」
「報告してどうなるって言うのさ」
年明けの開店1日目を閉めてから、ドロップアウト全員でアメリカから届いた2通目の書簡を眺めて話し合う。
「どうにもこうにも話がややこしくなってきたよい。こっちも弁護士をたてないといけないよい」
「店はまわし続ける? それとも一旦休業にする?」
「俺ともう一人でこっちの対応するよい。残った奴らで店はなんとかしろい」
「乱暴だな。おい」
「俺と賢太郎でいくよい。この店はソラと他面々でなんとかしろい」
「他面々で略するなよ」
こうして大地と賢太郎は国際裁判に臨むべくして東京に発った。
彼らはそれから帰ってこなかった。
ソラは妙にドギマギする。
アメリカとは彼女が生誕した地であり、思いだしたくもない地でもあるから――
しかし、そう言っていられない事態が遂に発生する。
それはアメリカから3度目の書簡に同封された1枚の写真。
テープは口で塞がれて縄で体を括られた大地と賢太郎がその写真に写っていた。
「おい! 何やっているって言うのあのオッサンたちはよぉ!」
「萌香さん、でも、これは一大事じゃ……」
「………………」
ソラはその国で生まれ育った運命と向き合うしかなかった――
∀・)Thanks so much to read this nobel.
∀・)My project「To be U.S.A」begins with this nobel.
∀・)I hope you enjoy it.See you next episode...
 




