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DROP OUT~C'MON BABY AMERICA~  作者: いでっち51号
~星の王子様~
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第24話「∞」

挿絵(By みてみん)



 氷づいた会場、氷づいてないのは6人。



 いや1人と5匹。



「あれが敵の大元。この程度じゃやられないか」



 山崎は眼鏡を外して息を吐く。



「元に戻れないの? 萌香?」

「こんな大きいステージでカメラを向けられている中で緊張するなって無理! ていうかイブキン! お兄ちゃんまで何で凍らせるのよ!」

「安心して。そのうち元に戻してあげる。一応」

「私も戦う! アンタは安全なところに逃げな!」

「うわぁ!」



 鷹山はモエエの萌香を凍ってない舞台袖に投げた。



 すぐさまに箒を持って魔法を発動。3階席に座る化け物に放った。



 しかし怪鳥の化物が翼をばたつかせて無効化させる。



 3階には他に蜘蛛の化物、豚の化物、馬の化物、ミミズの化物。いずれも人間より遥かに巨大。その中心にいるのは真っ白な肌に真っ白な髪。その髪はまるで蛇のように蠢いている。蒼く可憐なドレスさえも不気味な異彩を放っているよう。彼女がステージ上を指さすと5体の怪物が鷹山と山崎を襲う。



 応戦する鷹山たちだが、どんな強力な魔法を放っても奴らには効かない。



 ただ防御用の魔法を駆使して防戦するだけだった。



 怪物たちの長であるルーはゆっくりと階段を歩く。標的は舞台袖にいるらしい。あのときに駆けた術が解かれてないならば、ただの人語が喋れる狸に過ぎない。おそらく他愛なく葬り去れるだろう。



 彼女はそんな想いを膨らませながらステージ近くへ。



 しかしモエエの姿はなかった。



「どこに行った? ヨシカの娘?」



 いた。見つけた。



 その舞台袖の片隅でうずくまって震えている。



「ふふ、ふふふ」



 部下たちと戦う魔女たちも瀕死になりだしている。



 彼女は萌香のうえにやってきて大きく手を振りかざす。



 しかし萌香はその殺気に気づいてステージ中央へと逃げだした。



小癪(こしゃく)な。早く楽にしてやるものを」



 すぐにルーは飛びだして萌香に追撃の手を緩めない。




「このコは綺羅めくるのペットじゃなかったのですか?」




 ルーを凄まじい速さの手刀を鋼鉄の足が食い止めた。



「貴様は!」

「綺羅めくるはそういう口調じゃないですよ? アンタ、誰ですか?」

「ストーカーAD……!」



 鷹山も思わず唸る。ルーの恐ろしい強襲を止めたのは何でもない男な筈の伊達賢太郎だ。このスタジオで凍りついてないところ、そもそも常人でないという事なのか?



「しずくさん、コレが終わったら僕とお食事をお願いしますよ!」

「ええ。生き残れたらね」



 まさかの援護。しかし相手は化物5匹に怪物1人。



 どうやって打破しようというのか?



 だが、ここでそのトラップが解かれた。



「フリーズ・タイムカプセル……解除!」



 山崎の一声で凍てついた会場の氷は解ける。



 そしてスポットライトがステージ上の化物たちと魔女と狸へ脚光を当てる。



 いや、ステージにいるのは白い毛に覆われて目を紅く光らせる狸とヨボヨボの老人狸。



 すなわち狸と超人の者たち。



 会場は騒然としている。



「あ、どうしよう。そこの綺羅めくるさんは歌を歌える?」

「えっ?」

「何とかしなさい!」



 いつの間にか人間の姿にもどっていた萌香はマイクを持っていた。おそらくはステージ上に転がっていた物を無意識に掴んだのだろう。



 このどさくさに紛れて山崎は5匹の老人狸を凍らせた。



 さらにそれを迅速に賢太郎が片付ける。



 バックミュージックが掛かる。



 それはいつしかのテレビドラマのエンディングでよく聴いた曲。



 萌香は無意識で綺羅めくるとして歌を歌っていた。




 普段は立ち入り禁止のフジサンテレビ屋上。



 そこに巨大な円盤状の飛行船が降りて来ていた。



「待ちなさい!!!」



 飛行船に乗りこもうとする白狸。その狸に向かって鷹山が大声で一喝。



 彼女は箒を強く握りしめ、特大級の火炎魔法を放った――



 その魔法の威力は凄まじい。



 その筈だった。



 一人の青年の拳が全てを打ち消した。



挿絵(By みてみん)



「そんな小手先の(やいば)じゃ僕たちの遺志は潰されやしない」




 林海斗。その男に違いなかった。でも鷹山がその目でみた彼は今まで目にした彼と全くの別人――



 宇宙船は飛んでゆく。



 鷹山はただソレを見上げるだけ。



「勝ったのか? 私たちは?」



挿絵(By みてみん)



 僕が暗闇を恐れているのはそのまま彼に飲みこまれそうだから。



 ほんの小さな隙間から差し込む光にすら僕は愛を感じる。



 冷えた手を重ねてみたって寂しさが増すばかりで。



 それは無駄に祈り続ける事と同じで。



 幻想とじゃれ合うの。



 そう。こんな幻想とじゃれ合うの。



 笑いたいなら笑えばいい。



 元よりこの世界が夢幻(むげん)なのだとしたら。



 そこに酔い続けるのもまた1つの物語。




「はぁ……はぁ……」



 萌香は歌い切った。顔をあげると沢山の観衆が拍手を彼女へ贈る。



「ありがとー!」



 マイクを片手にもう1つの手を振る。そこで気がつく。彼女は狸の姿に戻っていた事に。そして目の前が真っ白になった――




∀・)はい。長らくに渡る異世界転移編~芸能界への転移編~がここで終了……と思いきや次回で終了です。ただ海斗君の事をはじめ、元にもどった世界ではアレコレあります。それがどういう事なのかは次号の次号で☆☆☆彡


∀・)あと柚癒さんの歌手になろうフェス・綺羅めくるのイラストも掲載しました。


∀・)なので「歌手になろうフェス」のタグを入れております☆☆☆彡

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― 新着の感想 ―
 あっさり勝てましたね。次回はどうなるか楽しみですね。  ではまた。
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