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DROP OUT~C'MON BABY AMERICA~  作者: いでっち51号
~林萌香の生きる道~
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第4話「怪人はここにもいる」

 舞台は横川町にある喫茶店「ドロップアウト」へ。目の前に座っているバイト志望の女子が狸の姿へ変わったことにソラは驚愕するしかなかった。



「あのぉ~これにはどうしようもない事情がございましてぇ~緊張をしちゃうとこういう姿になってしまうのですけどぉ~もう大丈夫かなぁ~と思ってぇ~」



 目の前の狸は両人差し指をツンツンさせながら御託を並べる。



「狸が喋っている……」



 それ以上の言葉がでない。呆然とするソラだったが、こんな時にこそ彼女は閃くものがあった。



 パシッとツンツンしている両手を黒い両手が掴む。



 ヒッ! とたじろぐ萌香。しかしソラは急転して明るい笑顔をみせた。



 そして彼女の眼は赤くギラギラ光っていた。



「私は本職で超能力者機構にて()()()()()者。化け狸なんて初めて出会ったけど、貴女と私ならこの店をさらに繁盛させていけるかもしれない……!」

「超能力者ナンタラ!?」

「本当は隠さないといけないのだけどね、でもお互い怪異同士。ウィンウィンな関係を築かない?」



 ソラの握る握力が増す。その握力は黒人女性だからって訳でなさそうだ。



「イタイイタイッ! ソラさん! 握るなら優しく握って!」

「あ、ごめん、つい興奮しちゃって」



 ソラは握った手を放す。その途端に赤くなった眼も元に戻った。萌香も緊張が解けたからか、人間の姿になれた。



「ひ~! いたい、いたい! 骨折したかもぉ!?」



 ソラは片手に顎をのせて「ふふっ、大丈夫。そんなやわなコじゃないでしょ? 狸で独り、こんな街にでてくるほどのコが」と微笑んで応じる。



「お仕事はさせてくれるのですか?」

「あら? 働く気なんてあるのね?」

「条件つきで」

「条件?」

「私が狸である事は内緒にしてくれる事! 貴女が超能力者ナンタラっていう事を内緒にしてあげるから!」

「あらあら、狸さんが超能力者と交渉?」

「狸を馬鹿にするな!」

「うまい事を言ったわね。いいわ。次の土曜日の昼にいらっしゃい。萌香ちゃんにはこの店を繁盛させる魅力がある。その可能性をゆっくり私とひきだすようにしましょう。ね?」



 ソラが萌香へウィンクをしてみせる。「可愛い美人さんだ!」と思わずそのまま口にしてしまいそうな萌香だったが、グッとそれを堪えてみせる。




 かくして林萌香は喫茶店ドロップアウトの一員になった。




「凄い♡♡♡可愛い♡♡♡」

「そうかなぁ? えへへ」



 萌香は出社してドロップアウトの制服に着替えた。ソラからその似合いようを褒められると、照れ笑いをしてみせる。



「じゃあ、写真を撮ろうか?」

「あ、はい。あの、1ついいですか?」

「どうぞ?」

「あのぉ~私もソラさんや店長がしているネクタイが欲しいなぁ~と」

「コレはこの店に2本しかないのよ」

「そうなのですね……」

「でも、萌香ちゃんがこの店で立派に成長したら、あげるわ」

「本当ですか!?」

「ふふ、そんなに欲しい?」

「はい!」

「わかった。じゃあ。今日から頑張らないとね。撮るわよ? はい! チーズ!」



 初出勤のその日、萌香にとってそれは人生史上最大苦痛の日にもなる――


挿絵(By みてみん)


 このとき、まだ彼女はそれを知る由もない。

∀・)読了ありがとうございます。はい(笑)ソラさんも普通の人ではありませんでした(笑)もう序盤からこんな感じなので慣れてゆく人は慣れてゆくと思います(笑)次週またご期待を☆☆☆彡

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何とか働ける事になったが、 萌香は色々やらかしそう。 それが初出勤なのも彼女らしいですね。
[一言] すでに慣れました。 当然、あの髭オヤジも人間じゃないのでしょう? ここは奮発してキングギドラ級の怪異にしてみてはどうでしょう? 広島で海獣大戦争勃発となれば、海上自衛隊の出番です! 実は沈没…
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