第12話「どうしようもない秘密ってどうしようもない秘密って事にするしかない」
「これは……」
萌香たちが画面越しにみたのは睡眠に堕ちた地球の人々。
画面に映る睡眠中の萌香や鷹山たちをみて驚きを隠す事はできない。
「地球上のありとあらゆる電子画面を侵略者たちが乗っ取り、その画面から謎の魔法を放って夢の世界に連れ去っているようだ。その侵略者の事を認識し、自己意識を保つことで意識は戻るようだ。だが、ほぼ地球上の人間がやられて……」
幕田の説明はあまりにもぶっ飛んでいる。
「その侵略者って明確に分かるの?」
戸惑いながらも鷹山は幕田に尋ねる。
「おそらく春醒だ」
「ハルサメ?」
「あの美味しい?」
「萌香をどこかにやって貰えないか?」
「え? 先生? どういうことなの?」
山崎は幕田のその一言を聞くやいなや萌香を氷結させた。
「すまん。彼女には知らせない方がいい話だからな」
「それで? 春醒って何?」
「幕田さん、このおばさんはさっきみたいにいかないけどイイ?」
「地球を護る為だからな。多少の不都合は目を瞑るさ」
「何よ? 何の話をするっていうの?」
「私とそこで氷漬けになっている萌香は蛮狸という狸の惑星からやってきた宇宙移民だ。もっとも、生まれは地球の日本という国だけどな。しかしそのルーツを辿れば侵略を志す連合と人類と融和を目指す者たちに別れた。その侵略を志した連合が春醒という地下組織だ」
「………………………………」
鷹山は顎に手を当てて思考を巡らす。
何か思いだすべき事を思い出せない。
いや、何かの光景が思い浮かぶようだが、
「副長? 話を聞いていますか?」
「いや、ごめん。何か気になって」
「気になる?」
「私はそのバンリっていうのを知らない。ただこの萌香って子が途轍もなく強いっていうのを目の当たりにしている」
「ふむ。我々を知らないとはまた訳がありそうだな。でも、今はそんな事をどうこう言うべきでない。今、話すべきは侵略者に対してどう立ち向かうべきか」
「幕田先生と言いましたね? つまり先生の言われる侵略者とは?」
「春醒だ」
春醒。その起源は100年前に遡る。地球より遥か彼方の惑星から漂流のうえ、日本に着陸した。彼らの科学を駆使するには材料が乏しく大半が野生の狸として生きていくしかなかった。しかし人に化ける能力を持った者は日本人に化けて、時の権力を握る日本軍の高官になるなどした。そういった人類進出を果たした者たちは地下組織を築きあげて日本はては世界征服を目論むようになる。
地球に降りてきた時点で800匹はいたと言われており、そのうちの16匹が人類進出を果たしたと言われる。狸の惑星からやってきた彼らはノウハウを体感にて分かれば人に化けられる。むしろずっと人として生きてゆける。そういった個体を探すところからはじめ、戦後はじっくり時間をかけて計画を練ってゆく。そして1999年、魔女の一団と超能力者の一団と手を組み世界侵攻を試みた。
しかし失敗に終わる。
それは彼らにとって思わぬ展開があったからだ。
人類制圧に反対する蛮狸そして魔女や超能力者等といった者たちが立ち上がり、計画を阻止したのだ。
「計画名がラグナロク」
「………………………………」
「副長、どうかしました?」
「いや、なんか頭痛がした」
「そう」
山崎はその場で鷹山を凍らした。
「おいおい!? 何をしている!?」
「おそらく何か事情があって、蛮狸の事も春醒の事も彼女は知らない」
「どういう事だ?」
「1999年に今と同様の事があったのだとしたら、彼女がそこと関わっている可能性は拭えない。当時14歳だったからね」
「うむ……とても冷酷なようだが君は賢いな」
「じきに解凍はさせます。いずれにしてもこの仮想現実と現実で起きている事を止めなくちゃね。そのうえで彼女たちは必要な存在ですから。余計な事を思い出す訳にはいかないという事」
「しかし、何も知らずして奴らと戦う事はできないぞ?」
「じゃあ、せめて私にはいい加減に教えて貰えますか?」
「何を?」
「モエカッチョ、いや、林萌香はどういう蛮狸なの?」
幕田は俯き息を詰まらせる。
そのまま黙り続けようと思っても、無理だと悟って重い口を開く。
「彼女の母親は春醒の幹部だった」
幕田は真っすぐな目を山崎に向けたまま続ける。ここまできたのならば、もう話すしかなかろう。
「萌香は母と喧嘩して母を殺した」
その事実はあまりにも重たいものだった――
∀・)いやぁ~ついに明かされました。そして重たい空気にさせちゃいましたね。
∀・)ですが、ここで真相は明らかになります。いま人類のほとんどが「仮想現実」に送りこまれているという事。それを止めなくっちゃいけないけども、ワケありの蛮狸とワケありの魔女を仲間に生吹さんは戦うという事なんですね。どうなるんでしょ~どうなるんでしょ~また次号☆☆☆彡




