第7話「その魔女、闇の中の約束で自分自身を思いだす」
鷹山優は目を覚ますと幼稚園にいた。
ヨチヨチ歩くしかない感覚から体型は幼児体型になっていると分かる。
明らかに何かの不可抗力のもとで異世界転移させられている。
すぐ近くに金髪の幼児がキョロキョロ周囲を見渡している。
「伊東」
思わず鷹山はその名を呼ぶ。
「鷹山か」
「何でアンタもここに? いや、コレはどういうこと?」
「この異変に巻き込まれているのはわっちとお前だけじゃない。日本中、いや、世界中の人間が妖術にかかってしまっておるようじゃ」
「妖術? しかも世界規模だって?」
「ゆっくり話したいが、もう次の場面になる」
「次の場面?」
ハッとまわりを見渡す。するとそこは寒気のする光に包まれた街路樹になっていた。体型も幼児体型でない。この景色を彼女は何か思いだすようだった。
「これってテレビドラマでみた事が……」
「お前はマジョタキュ以外にも観るモノがあるのか?」
「うるさい!! そのネタでアンタも私を弄るな!! 大体何なのコレは!? アンタと私で『光の中の約束』をやって何が面白いの!? ナナとユキにしては厳つすぎる!!」
「何も気づかんのか? これは全て仕組まれたシナリオ。見破れば死を回避することができる。魔法だって使える」
伊東は手元に粒子を集めて杖を持つ。
「そうじゃのう、今ならお前との約束も護れそうじゃ」
彼女は厭らしくニンマリとしてみせた。
「約束……ああ……そうか」
鷹山は伊東の顔を半ば閉じた眼で睨みながら思いだす。
「「私(わっち)がお前を殺すまで誰にも殺されるなよ」」
気がつけば鷹山も魔女として箒を持っていた。
「ここでやりあおうっていうの?」
「ふん、お前が魔女であることを忘れ切っていったら絶好のチャンスだったが。そうでもないとなると話は別じゃい。この異変を起こした奴を倒す事が先決じゃな」
「そうだね。アンタと私じゃ光の中の約束なんて似合わないものね……闇の!? んっ!?」
突然大きな地震が発生した。
すぐに伊東と鷹山は魔法を発動して倒れてくる木々を薙ぎ払って宙に飛ぶ。
そこで閃光が走った。
目を覚ますと大雨が降りつける河原のなかで鷹山は屈んでいた。
「真っ赤なスカート。小さい頃に読んだ絵本でも見たし、アニメでもみたなぁ」
少し離れたところで鷲が子猫を虐めている。
やはりその光景も記憶にあるまま。
「腹減ったっす!! 喰わせるっす!!」
「やめるにゃあ!! 思いだすにゃあ!! そらにゃんは鷲じゃないにゃあ!!」
「2匹ともやめろぉ!!!」
大きな箒を持った女の子の鷹山優はソレをさらに巨大化させて鷲をぶん殴る。
「ヒィッ!? 私も殺す気にゃん!? マジョタキュリターンズ!!」
「もののけ姫派だって言っているでしょ? 何で亀じゃないのよ? ああ、そうだったわ。未来屋は化け猫だったっていうか、救われたら御礼を言うでしょ。普通」
鷲だった七空は大きなたんこぶができて気を失ったまま。
「すいません……本当に鷲になったソラニャンに喰われそうになっていて、この数日間ずっと逃げては払いのけ、逃げては払いのけを繰り返していたにゃん……うっ……」
魔法が使えなくなっている。おそらくここが何かしらの妖術で創られた世界であり、それを見破って自我を取り戻すことで魔法が使えることを彼女に伝える。それで未来屋はこの世界を生き残れそうな気がした。が、そこで大きなトラックが鷹山たちの前に勢いよく現れた。子猫の未来屋は即座に走って逃げる。
このままでは鷲と化した七空が轢かれてしまう。
魔術を以て向かって来るトラックを倒そうとしたが、それはただ彼女達に閃光をみせる為の仕掛けに過ぎなかった。
鷹山はふたたび違う世界へと飛ばされることに――
∀・)ご一読ありがとうございます♪♪♪魔法が使えるようになった副長は強いぜ♪♪♪
∀・)また次号☆☆☆彡
『光の中の約束』
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『レナちゃんとやさしい動物たち』
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∀・)高山由宇さんの作品が舞台として登場しました。いずれもイデッチアワーズ最優秀作品賞受賞と。レナちゃんは素晴らしい名作なんですけども埋もれ閉まっている感が……なので良かったら、こちらもご一読して欲しいとイチオシしますね☆☆☆彡




