第6話「コレは『はつと鵺』じゃない」
萌香たちが仮想空間に飛ばされ続けている今からだいぶ時間を遡る。
神泉組一行は廃墟と化した横川で立ち尽くす。
いや、これは本当に崩壊した横川町の姿だろうか?
「この町が壊れたらこんな景色じゃないよね?」
「さすが副長。その目は節穴じゃないか」
山崎生吹は魔法道具のステッキを手にしていた。
そう、これはどこかの廃墟と化した街だ。
横川という町で警察官を務めてきた鷹山優には分かり切った事であった。
未来屋と七空は泥酔している千速を担ぐので精一杯だ。
そこで突風が吹く。
すぐに魔法で対抗しようとするが、その凄まじさには抗えなかった。
「なにいいいぃぃぃいいぃぃいぃっ!?」
鷹山はそのまま吹き飛ばされる。そしてその街にあるトンネルに引きずりこまれた――
気のせいだろうか。
その瞬間に山崎の「ワロス!!!」という大声が耳に入ったような気がした――
「ん」
鷹山は廃墟でない山道で倒れていた。
頭上から声が聴こえる。
ずっと何かを尋ねられているようだ。
「何者だ」
侍。武士。そのような格好をした男だ。
「はつ?」
「いや、私、何も言うとらんけど……」
「お前はどこからきた。なぜ降ってきたのだ」
「そりゃあ、私が聞きたい。ここはどこ?」
「答えろ。答えねば斬るぞ」
「やってみろ。返り討ちに……あれ?」
魔法が発動しない。
「答えないのか?」
「いや、すいません、これってあれですよね? ちょっとまえにテレビドラマで流行った『はつと鵺』の世界ですよね?」
「貴様、何を喋っておる?」
「ひっ!」
テレビドラマと同様にはつにされた鷹山は鵺に担がれた。
このまま伊賀の里へ連行されるのはそのドラマをすごく気にいっていた鷹山には分かり切った事。
例のごとく岩山を削ったような洞窟の中にある牢獄へと連れていかれた。
そして投獄される。
魔法さえ使えれば。状況は変えられるのに……
そこへ一人の青年が現れる。
鵺じゃない。ここで出てくるのは草野助だ。
「其方は、真に何も憶えておらぬのか?」
「……」
気持ちで温かい羽織ることのできる物をくれる。
ここまでは真に『はつと鵺」のまんまだ。
「何ゆえに神泉組に入った? 鷹山副長?」
「!?」
「わっちじゃ。鷹山」
「伊東!?」
よくみたら、その青年には違和感があった。
髪は金髪で縫ってごまかしているようだが、男装している女性。
神泉組2番隊隊長・伊東真――
「このままここにおるとあの鵺に化けている狸がお前を『拷問』の場面で斬り殺す」
「何だって!?」
「わっちについてこい。事のあらましはこの先で話す」
「…………」
警戒心がない訳ではなかった。
ここ数年、2番隊は神泉組総体と絡む事がなかったからだ。
この伊東が隊長になってからというもの。
しかし、伊東を信じるしか他にないと思った鷹山は彼女についていこうと外にでた。
そこ眩い光が優たちを照らす。
舞台はそこで変えられた――
∀・)ご一読ありがとうございます♪♪♪しばらく鷹山優のターンになります♪♪♪
『はつと鵺〜天正伊賀物語〜』
https://ncode.syosetu.com/n6896ec/
∀・)こちらが今回の話で登場した人気テレビドラマの原作になります(笑)
∀・)イデッチアワーズ2018受賞作品。よかったらチェックしてね☆☆☆彡